第17章 ☆Story34☆　代替試合

「当たり前だ。絶対に勝ってみせる。」
（相手がどんなに強くても、喰らいつくしかない……）


憲吾は決意を固めリングに上がった。
リングには既に宙が立っており憲吾が来るなり笑顔を見せた。


「お！きたきた♪
アンタと対戦するのは初めてだよね？
オレは山雀商業高校３年の東郷宙、今年日本の高校に転校してきたんだ。」

「……海王工業高校３年の三船憲吾だ。
よろしく頼む……」
（日本の高校に転校してきたってことはそれまでは海外に？）

「話に聞いてた通りクールだね笑
オレとは正反対だからそう言う性格憧れるわー！
今日はよろしくな！」

「あぁ……」
（吾郎と同じで結構うるさいタイプか……）←


少し拍子抜けした憲吾、
宙は突然憲吾の肩に腕を回しグイッと引き寄せ耳元に囁いてきた。


＿グイッ！


「っ何して……！」

「なぁなぁ……＿ﾎﾞｿｯ‥オレが勝ったらさ、
ゆりちゃんのこと貰っていい？」

「っ！？（っコイツ何言って……）＿ﾊﾞｼｯ！
っふざけるな……！いきなり何のことだ……」


憲吾は宙の腕を払い退けた。


「ハハっ！焦ってる？笑」

「っふざけるのも大概にしろ……」
（そもそも、なんでコイツは俺とゆりのことを……
まさか、あの組織の東郷と何か関わりがあんのか……？）


憲吾が佇むと宙はゆり達がいる方向に体を向け
ロープから身を乗り出した。
当然の如くゆり達は驚いた様子で宙を見た。


「ねぇねぇ！
ゆりちゃん達は三船くん達の応援に来てるんでしょ？」

「っ宙！今は試合に集中しなさい。
三船くんにも皆さんにも失礼だぞ！」


最は椅子から立ち上がり弟に注意を促した。


「だってあの藤ヶ谷ゆりちゃんが観にきてんだよ？
テンションあがんない方がおかしいでしょ笑
てかなんでそんな有名人がたかが高校生の試合観に来てるの？
よっぽど特別な相手じゃないとわざわざ来ないよね！？」

「っ……」
（この人、急に何なんだろ……
さっき憲吾にも何か言ってたみたいだし……）


＿ざわざわざわ…


「っ……」
（コイツ、一体何企んで……）


宙の言葉にアリーナはざわざわとし始めた。さすがにゆりが
この場にいると思っていなかった観客が多いようだった。