第17章 ☆Story34☆ 代替試合
辺りを見渡してみるゆり、目に入る人たちは全員
吾郎と聡の試合を見ておりこちらに目を向けてる人物は見当たらなかった。
だがまだ感じる視線、ゆりはふと後ろを向いてみた。
「……っ!?」
(っまさか……あの人……?
それにどこかd‥っ!?)
アリーナの出入り口のところに一人の男の姿。
その男は180cm以上あり黒い帽子とサングラスを掛けていた。
ゆりは一目見ただけでその男が誰であるかわかった。
顔色を変えたゆりにいち早く気づいたキラは首を傾げながら
ゆりに声をかけた。
『ゆり?』
「っ……」
(っあの人だ……間違いない。でも何でこんなところに……やっぱり、
理事長やその弟さんと何か関係が?)
ゆりがその男に視線を奪われていると男はニヤリと笑い
何か言葉を発した。
【来いよ。】
「っ!」
口の動きは「来いよ」と言っているように感じた。
ゆりはゾクリと背筋が凍る感覚を覚えユウを抱える力を強めた。
『っ……?』
(ゆりちゃん?一体どうしたの……?)
『ゆり、さっきからどうしたの?』
「っえ!?うんと……」
キラに声を掛けられふとキラの方に目を向けるゆり。
キラは眉を顰めた。
『さっきから様子が変。後ろに誰かいるの?』
「っ!」
キラがゆりが見ていた後ろに体を向けゆりも再び目を向けた。
だが男はその場にはいなかった……。
「っ……」
(幻覚……?もしかして、東郷って名前に過剰に反応してるからかな……
でもあれは確かにあの人だった……)
『……誰もいないじゃん。』
「っ……」
(っ何なのこの感じ……あれはやっぱり幻覚だよね?でも、
私の身体が反応している……直接確かめないとっていう感覚が……)
「っゆりちゃん?
さっきからどうしたんだい?2人とも凄く良い試合をしているのに……」
「っすみません……あの、ちょっとお手洗いに行ってきます。」
「う、うん……それは構わないけど……」
「ごめんキラちゃん、ちょっとだけユウ預かってて……」
ゆりはユウをキラに渡し席から立った。
『私も行く。』
「っキラちゃんはここにいて?本当にトレイに行くだけだから……」