第17章 ☆Story34☆ 代替試合
いよいよ始まった吾郎と聡の試合、
ゆりは固唾を呑みながら試合を見守っていた。
「っ内山さん……!頑張ってください!」
(相手は諸星さんか……憲吾でも苦戦していた相手……)
「がんばれ内山くん!勝ったら美味しいもの奢ってあげるよ!」
涼介もゆりと一緒になって応援。
吾郎は2人の方に振り向くとニッと笑った。
その様子を見ていた最は隣に座る瑛二に声をかけた。
「美澤社長、ゆりちゃん達は三船くん達と親しい関係なんですか?」
「っあぁ……三船くんが、
ゆりのヤラカシからゆりを救ってくれたみたいでな……
それ以来、私も気にかけていたんだよ。」
「そんなことがあったんですね……それで今回この試合を?」
「そんなところです。本来の大会の日、
ゆりが拉致されてしまってね……そこに駆けつけてくれたのが
あの2人だった。あの2人には、今でも感謝しきれないよ……」
「素敵な生徒さん達ですね……ぜひ我が大学にも来て頂きたいですよ。」
「おや?その言い振りだと結果問わず推薦を?」
「できることなら。
ですが推薦は私一人の意見ではそれはできませんからね(苦笑)
試合の結果が一番重要視されるかと思います。」
「ま、そうだろうな……」
瑛二は最と話しながら2人の試合を見守った。
ゆりもユウを抱きながら試合を見ていたが
どこからか視線を感じていた。
「っ……!」
(っ何だろ……どこからか見られてるような……)
『……?』
(ゆりちゃん?急にどうしたんだろ……)
『ゆり?どうしたの?』
「っううん……ちょっと視線を感じただけ……」
『ゆりのファンも紛れてるんじゃないの?』
「っそうかもね……変装も眼鏡だけだし……」
「ゆりちゃんのことは、知らされてないはずなんだけどな……
でもその可能性が高いかもね。なんせ、
このゆりちゃんがここにいるんだもん(苦笑)
気づいたら見るのは当然じゃないかな?」
「っですよね……(苦笑)」
(でも、そんな視線じゃない気がする……
ライブとかでファンから向けられる視線とは違うような……
っ何だろこの……ゾクっとする感じ……)
ゆりは辺りを見渡してみた。