第4章 ☆Story22☆ 空の街、神々の世界
「っ……」
「ま!今度は、お前の優勝で決めようぜ。
ゆりちゃんが、安心して海外に行けるように……」
「……今度こそ、
優勝してみせる……前みたいに、怖い思いはして欲しくない……」
「あん時の覇気……今までにないやつだったしな……まぁ今回の試合も
前回と同じような面々が集まるわけだし……
覇気とか使うやつはいねぇとは思うけど……」
「……。」
「そっか……憲吾くんたち、明日ボクシングの試合あるのか……
ふふっ……ゆり、今頃楽しみにしてるんだろうなぁ♪」
『……。』
「……憲吾くんたちを見て思い出しんたんですけど、」
『なんだ?』
「みんなが覇気って言ってるあの力……
あの力も、神様がお与えになったんですよね……?」
『あぁ……人間に、力を与えた。』
「……暇潰し、の為なんですよね……平和な世界だけなんてつまらない、
時にはこの現世に争い事も与えて……」
『……人間というものは、その都度に解決策を模索し……解決する。
見ていて実に面白い生き物だ……。』
「……ゆりたちにも、あるんですよね……
カタチが違うだけで……」
『人々に、それぞれ力を与えてある……ただ強いか弱いかの違いだけだ。
お主も、強い覇気の持ち主であったな。
見ていて、飽きさせない……お主の周りの人間たちもな……』
「……神様は、
この世界の人々たちの人生を操ることができるんですか……?」
『もちろん、操ることなど造作もない。』
「……太輔と出会えたことや、
私の癌が突然再発したのって……必然か偶然か、
どちらだったんですか……?」
『……。』
「……もし、私の癌が再発してなければ……
みんなと笑い合いながら過ごせていたかもしれないのに……」
『……必然もあれば偶然もある。』
「詳しくは、教えてはくれないんですね……」
『……現世に戻るのは明日にしなさい。
今日は、空の街の住民にでも顔を見せなさい。』
「……はい、」
百合は神様の側から離れ
大きな扉がある方へ歩きそのドアを押した。
このドアが本来現世で体を無くした人たちが行き着く
空の街への入り口なのだ。