第4章 ☆Story22☆ 空の街、神々の世界
「っ……」
ゆりにはまだ叶輔が必要だ……
確かに、太輔にはもう……私がいなくても大丈夫かもしれない。
でも……
こんな形で太輔とお別れになるなんて……
「っ……確かに、太輔にはもう私は必要ないかもしれません。
大丈夫かもしれません……でも!
こんな形で離れるなんて嫌です!!
まだ、ちゃんとお別れも言えてないし……
このまま別れたら、また太輔は……」
(太輔、今頃心配しているよね……
急に、ぬいぐるみに戻っちゃって……)
『……。』
「お願いです……もう少し、太輔の傍に居させてください……。
太輔と一緒に、ゆりを見守りたいんです……。
太輔は、私が初めて心から愛した人なんです。
こんな形で離れるのは、嫌です。」
『……それほど、あの者を愛しているのだな。』
「はい。」
神様の目を真っ直ぐ見つめながらはっきりと言う百合。
『……では、2ヶ月だけ猶予を与える。
2ヶ月後、お主はこの世界に戻るのだ。』
「はい、わかりました。
ありがとうございます……」
『……本当に、人間というものはどの時代においても欲が深い生き物だ。
最も、その生き物を生み出したのは我自身だがな……』
「……。」
『……百合、』
「……かm_ギュッ…っ……」
神様は目の前にいる百合を抱きしめた。
「……。」
百合は一瞬戸惑いを見せたが拒絶することはなかった。
『百合は、なんとも不思議な娘だ。
我がお主を現世に誕生させたとは言え、ここまでとはな……』
「……。」
『この世界は、退屈だが……お主は我を飽きさせぬ……』
神様といえどなんの変化もない無機質な世界、
争いがない世界は退屈らしい……。
だから、神様は気まぐれなのかな……
私たち人間に試練を与え時には幸を、時には不幸を……