第3章 ☆Story21☆ 動くそれぞれの歯車
「その、きょうすけって名前は……」
『私が、付けたの。
私たちが親子だと認識した時にね……ちなみに漢字は、
“叶”うに太輔と同じ“輔”……叶輔。』
「若干キラキラネームっぽいけど……もしかして、
ゆりと兄弟として生まれて欲しかった、
叶えて欲しかったっていう意味とかあんのか?お前のことだし……」
『ふふっ……太輔には、お見通しか……
さすがは私の世界一の旦那さま♪』
「何年、お前のことを想ってたと思うんだよ……
お前が、小学生の時からお前のこと知ってんだぞ……
お前が死んでからも、俺はお前を忘れたことはなかった……
何度、お前が生きていてくれてたらなって思った……
もう、20年以上は経ってんな……お前と初めて会った日から……」
『そうだね……もう、そんな年月が経ったんだね……
赤ん坊だったゆりも、
すっかり成長して今じゃ世界に羽ばたこうとしている……』
「……叶輔か、
ゆりのこと、すごい心配していたな……
そりゃあ、双子の兄妹になるはずだったんならそうだよな……」
『叶輔も今辛いと思うの……本当は、
「ゆりと兄妹なんだよ?」
「ゆりのお兄ちゃんなんだよ?」って、
伝えたいはずだから……』
「でも、それは……できねぇんだろ?」
『うん、あくまで叶輔は神様の……っ道具、に……すぎないから……』
「っ!?道具って……!」
『っ私だって辛いよ!
正直、神様は残酷だよ……
何で叶輔も一緒にお腹に宿らせてくれなかったの……?
叶輔も生まれてきていたら……ゆりも、
太輔も今ほど辛い思いしなくて済んでたかもしれないし!』
「っ百合……」_ギュッ…
太輔は百合を抱きしめた。
『っ……神様は、本当に酷いよ……
いくらゆりを独り立ちさせるためだからって叶輔の生命を……』
「……。」
『ほんと、辛いね……自分の、
自分たちの子供を何かのために利用させられるって……』
「っ……」
『それに……結局はゆりも利用されてるんだよね……
ゆりも、来海ちゃんたちも獅依留くんたちも……』
「百合……?」