第15章 ☆Story33☆ 決着
「っ……」
「……この曲は、
ゆりちゃんにとっても貴方にとっても大切な曲なんですよね?」
_コクッ「はい……ゆりが、俺の為に原曲をアレンジしてくれたんです。
初めてゆり達のライブを観に行った時に、聞かせてくれました。
そこでゆりと想いが通じ合って、
ゆりとこうして一緒になれた……今でも、焼きついています。
あの日の光景は……」
ステージに目を向ける憲吾、
今Miss Youを歌っているのはゆりのアンドロイド。
歌唱力は問題なく完璧だったがやはり心の奥までは伝わってこなかった。
「……やっぱり、本物と偽物じゃ全然違いますね。
ゆりが歌ってるはずなのに、全然そう聞こえない……」
「貴方なら、尚更そう感じるでしょう。
何せゆりちゃんが貴方の為だけに歌い上げた曲ですからね……」
「ゆり……」
(ここからじゃゆりの顔はよく見えないが、
どことなく不安そうだ……でも、お前なら大丈夫だゆり。
きっと、みんなの心にお前の気持ちが届くはずだ。
あのライブの日と、同じように……)
そしてMiss Youを歌い上げ次はいよいよゆりの出番。
ゆりはマイクを手に取って喋り出した。
「Miss Youは特別な曲です。
桂木さんは、大切な人に向けてこの曲を歌いました。
私も、大切な人に向けて歌いたいと思いアレンジさせて頂きました。
そして今日……
私はこの曲をその大切な人に向けて歌いたいと思います。
その人が、この歌を聴いていると信じて……」
「っ!」
「……(微笑)
やはり、貴方をこの場に呼んで正解でしたね。」
「っ……(微笑)」
(ありがとう、ゆり……俺も、
お前に会ったらすぐ伝えたい。大好きだって……)
「それでは……聴いてください、Miss You……」
憲吾が見守る中Miss Youを歌い続けるゆり、
歌うゆりはあの時のライブ以上に輝いておりゆりの
憲吾を想う気持ちは心の奥まで伝わってきた。
【誰より、誰より あなたのそばにいたい
今でも、誰よりも強く 愛しているの】
「ゆり……俺もお前のことが大好きだ。」
(これから先も、ずっとお前と居たい……)