第3章 ☆Story21☆ 動くそれぞれの歯車
『きょうすけの心配事って
ゆりの写真がまた撮られるんじゃないかってこと?
それなら、ゆりに直接いえばいいことじゃないの?』
「っ!?」
っ何で、ゆりの名前まで……とられる?
一体アイツは何を……
【っ僕は心配してるのは!
そんなことじゃないんだ!!】
『っ……きょうすけ……』
今度は百合の話し相手であろう人物の声が聞こえてきた。
しかも声を荒げた様子で……
その声は変声期前の男の子のような、男の子の声だ。
話はいまいち掴めないが
百合達が何か深刻な話をしているということだけはわかった。
それと、ゆりの身に……
何か起きるかもしれないということが……
【なんか僕、すごい胸騒ぎがするの……
今まで班田がゆりちゃんにも憲吾くんにも
何もしてこなくて……
それでゆりちゃんたちはもう韓国に行っちゃうし……
人って、見かけによらないって言うし……】
『……。』
「っ……」
俺も前に、山田くんから聞いた……
三船くんと中学時代につるんでいた不良仲間が班田という男で、
三船くんと関わりを持ったゆりにまで目を付けたという話……
今のところ、
ゆりに何か被害が出たという連絡はなかったから
正直忘れかけていた……ゆりは、
常に危険な状況に置かれていたということを……
【っなんか、15年前にもあった母さんと雅さんの事件と……
似てるって言うか……
なんか、取り返しのつかないことの前兆なのかなって思ったりとか……】
話し相手の男の子?は15年前のことも知ってるふうだった……
百合が話した?
いや、わざわざ話す内容じゃない……まるで、
昔から俺らを知ってるような……
「っ百合……」
(お前は一体、誰と……)
我慢しきれなくなった俺は百合の元に歩み寄り……
『っきょうす「おい、百合……
お前、誰と話してんだ?」っ太輔!?』
「……。」
案の定、百合は驚いた様子で俺のことを見上げていた。
まるで、見つかってはいけなかったかのように……