第15章 ☆Story33☆ 決着
同日、時刻は16:45。
昼食も食べ終え暇を持て余すゆりは本を読んでいた。
「東郷さんって意外と物語系読んでるんだなぁ……」
本を読み進めていると扉をノックする音が聞こえてきた。
ゆりはまたジュリが来たのかと思い返事をした。
「っはい…!どうぞ……」
(ジュリさんかな……呼び鈴は鳴らしてないし……)
「お邪魔しますよ。」
ゆりの返事と共に開かれる扉、
そこに居たのはジュリでも東郷でもなく伊集院の姿だった……
「っ!?」
(っなんでこの人が……)
ゆりは思わず椅子から立ち上がり後ろに後ずさった。
一瞬にして穏やかな気持ちは不穏なものに変わり一昨日の出来事を
思い出してしまった。
「っ……なんで貴方がここに……」
「そんなに怯えないで頂きたい。
私はただ君の様子を見にきただけだ。東郷様から、
目を離さないよう言われていますからね。」
「っ……みんなは、他のメンバーはどうしてるんですか……
ちゃんと、無事なんですよね?」
「まあ命に別状はない。
精神的にはかなりやられているようだからな。」
「っ……」
(っみんな……)
伊集院の言葉に青ざめるゆり、
そんなゆりを見下ろしながら伊集院は言葉を続けた。
「それに比べ、君は実に幸せ者だと思わないかい?
あの方に気に入られこうして自由を与えられている。」
「っ自由……?(自由なんてない、鳥籠に入れられてる鳥と同じ……)
私をこの部屋に監禁して、自由があるだなんて冗談じゃない……
こんなの、自由じゃない。鳥籠の中の鳥と同じよ!」
「確かに、ここは君にとって鳥籠だろうね。
だが、それも時期終わる。」
「っどういう事……」
ゆりは警戒しながら伊集院を見上げる。
そんな中伊集院はゆりにジリジリと歩み寄ってきた。
ゆりは逃げるように後退りしながら会話を続ける。
「君はあの方に気に入られた。
それも、最高の玩具としてではなく特別な存在としてな……」
「っ何を訳のわからないことを……!」
「今もまだあの方は戻られていない。
それまで君をここから出すことも逃すこともできない。」
「っさっきから何訳のわからないことを……」
「……今、このアジトには異分子が紛れ込んでいる。」
「っ!?」