第3章 ☆Story21☆ 動くそれぞれの歯車
『……ゆりちゃんの、ことなんだけど……』
【っゆりがどうしたの!?】
『ゆりちゃんね?明日憲吾くんの応援に行くんだ……』
【っそんなこと……?
いいじゃない!彼氏の試合を応援だなんて♪まさに青春って感じ♪】
『それは、全然いいんだけどさ……』
【……きょうすけ、何があったの?】
『憲吾くんの応援に行く前に、財前寺海斗くんって言う子と会うんだ。
なんか、相談事で……』
【その海斗くんが、どうしたって言うの?
財前寺海斗って、どこかで……って!
前にゆりと熱愛だって撮られた子?】
『うん、その彼と2人で会うみたい……』
【……きょうすけ、きょうすけの心配事って
ゆりの写真がまた撮られるんじゃないかってこと?
それなら、ゆりに直接いえばいいことじゃないの?】
『っ僕は心配してるのは!
そんなことじゃないんだ!!』
【っ……きょうすけ……】
『なんか僕、すごい胸騒ぎがするの……
今まで班田がゆりちゃんにも憲吾くんにも何もしてこなくて……
それでゆりちゃんたちはもう韓国に行っちゃうし……
人って、見かけによらないって言うし……』
ユウの声は段々とか細くなってきた。
【……。】
『っなんか、15年前にもあった母さんと雅さんの事件と……
似てるって言うか……なんか、
取り返しのつかないことの前兆なのかなって思ったりとか……』
【っきょうす《おい、百合……
お前、誰と話してんだ?》っ太輔!?】
『っ父さん!?』
どうやら百合のところは太輔が仕事から帰ってきたようだった。
《っおい……
今なんか父さんって……【っ何でもないの!私の独り言なの!!】
《っどう見ても独り言じゃねぇだろ、
明らかに誰かと会話してただろ!》
『っ……』
ユウは顔を青ざめた。そしてユウのところにも運悪く……
「ユウ……今なんかユウの大声聞こえたんだけど、気のせい?
なんか、『父さん』とかって、聞こえたような……」