第3章 ☆Story21☆ 動くそれぞれの歯車
こうして寮に送ってもらったゆりは自分の部屋に戻り……
「ただいまぁ……」
『おかえりなさい!』
ユウはいつものごとく玄関先でお出迎え。
『明日は憲吾くんの試合だね♪』
「うん、そうだね。
まぁその前に、財前寺さんと少しだけ会う約束してるの。」
『ぇ……そんな、大丈夫なの?』
ユウは不安げな表情をしながらゆりを見上げる。
「なんか相談したいことがあるんだって。
時間はそんな取らないって言ってたし、今日中に出発する準備すれば
明後日の出発は問題ないし。」
『……。』
「……ユウ、何でそんな深刻そうな顔してるの?」
『何も、起こらなければいいなって……
ずっと疑問に思ってたんだけど、何で班田っていう人……
何も仕掛けてこないんだろ……』
「っユウ……財前寺さんと班田さんは何も関係ないでしょ……
まるで、財前寺さんも班田さんと関わってるみたいじゃない……」
『……人って、見かけによらないって言うじゃん……』
「っ……ゆ、ユウの考えすぎだよ……」
『うん、そうだね……そうだといいんだけど……
っねぇ!今日は早めにシャワー浴びてきたら?』
「そうしようかな……ユウも入る?」
『っ僕は、今日はいいかな……』
「珍しいね、ユウがお風呂入らないなんて……
ま、ぬいぐるみだし1日2日入んなくても問題なさそうだしね笑
じゃあ先にお風呂行ってくるね。」
『うん!』
(ダメ元で、母さんにコンタクト取ってみよ……)
ゆりはお風呂に入る支度を済ませバスルームに入った。
ゆりがバスルームに入るのを確認すると
ユウは早速百合にコンタクトをとった。
『っ母さん……』
(父さん、仕事でまだ帰ってなければいいけど……)
幸いにもすぐ、百合がユウのコンタクトに応えた。
【っきょうすけ……今度はどうしたの?
太輔はまだ仕事から帰ってきてないからいいけど……】
『……ゆりちゃんの、ことなんだけど……』
【っゆりがどうしたの!?】