第14章 ☆Story32☆ 逃げられない
「っはぁ…はぁ……///」
「っ……」
唇を離すとゆりの口元から2人の交わった唾液が垂れていた。
それは更なる興奮を呼んだ。
「っ……おい、」
「っ……///」
ゆりは目を虚ろにさせながら東郷を見た。交わる2人の視線、
ゆりの顔をなぞりながら東郷はゆりの隣に寝転んだ。
指先を唇に持っていき端から端までなぞりじっとゆりの顔を見た。
「……オレは今日疲れてんだ。
だから今度はお前からキスをしろ。」
「っ!?」
ゆりは大きく目を開き東郷を疑うかのように見た。
そして視線を横にずらした。
「っ……」
(私からキス……?そんなの、できるわけないじゃない!
私はこれ以上憲吾を裏切ることできないのに……)
「……できないなら別にいいんだぞ?
昨日の薬なり媚薬なりでどうにでも出来るんだからな……」
「っ!?」
東郷はポケットから昨日出雲が出したものと同じボトルを出し
ゆりの目の前に見せた。ゆりは昨日の恐怖が蘇ってきた。
固まっていると東郷はニヤニヤとこちらを見ていた。
「っ……」
「どうする?
薬で無理やりやるか自分でやるか……どっちにする?」
「っそんなの……」
(どっちも選べるわけないよ……!)
まさに悪魔の選択だ、ゆりはギュッと目を閉じる。
しばらく考えるとゆりはゆっくりと目を開けた。
「っ……」
「答えは決まったようだな……」
「っ……あの薬はもうやだ……だから……」
(っ憲吾……ごめん……ごめんね……
今はこの人に逆らえる気がしないから……っごめんなさい憲吾……)
覚悟を決めゆりは自分から東郷の顔に寄せそのまま唇を落とした。
憲吾への罪悪感からその瞬間涙が流れた。
数秒のキスをして唇を離すゆりは東郷を見た。
「っ……しました、けど……」
「これで終わりか?
連れねぇやつだな……もっとオレを満足させてみろよ。」
「っ……」
「……ほら、オレがやったみたいにやってみろよ。」
「っ……わかりました……」
ゆりは一度起き上がると東郷の上に跨るように体制を変えた。
そして東郷の体を仰向けにさせた……。
「っ……」
(ホントどうかしてるよ私……でも、助けが来るまでは……)