第14章 ☆Story32☆ 逃げられない
「ふっ……相変わらずお転婆な奴だ。
されたくないなら、もっと上品に食べるんだな。」
「っう……」
(普通に食べただけなのに……)
ゆりはまた舐められないようにひとくちの大きさを
いつもより小さくしながら1個のマリトッツォを完食した。
「……ありがとうございます、凄く美味しかったです。」
「……1個でいいのか?」
「結構お腹もいっぱいになったので……せっかくなら、
東郷さんも食べたらどうですか?」
「オレは甘いものは苦手だ。
さっきのクリーム舐めただけでもごめんだな。」
「っそう、ですか……」
(確か憲吾も甘いの苦手だったよなぁ……)
もう1個のマリトッツォは冷蔵庫に入れ別の機会に食べる事にした。
ゆりが冷蔵庫に入れ元の場所に戻ろうと踵を返した時、
椅子に座ってたはずの東郷がすぐ後ろにいた。
「よし……っきゃあ!?」
「相変わらず面白い反応をするな。」
「っ気配消していきなり後ろにいたらビックリしますから!」
ビックリしたゆりは思わず涙目になりながら東郷を見上げた。
「っ……何なんですか急に……」
「……仕事で疲れた。早くオレを癒せ。」
「っはぁ!?」
(なんで誘拐犯を癒さないといけないの!?)
思わず声をあげるゆり。
東郷はそんなゆりを無視するとグイッと手を引っ張り仕事行く前に
一度入って行ったプライベートルームの部屋に連れて行った。
「っ……」
(っここって……)
「……このアジトの中でのオレのプライベートルームだ。
オレ以外は入らない部屋だ。」
「っ何でここに……」
(まさか……今度はここで……)
ゆりはギュッと病衣を握った。
そしてその予想は当たり東郷はベッドにゆりを誘い押し倒した。
_ドンッ「っちょ!何すr_チュッ‥っんん…///」
押し倒されるなり唇を押し付けられ歯列をなぞりながら
そのまま舌を差し込んできた。ゆりはシャツを掴み
引き離そうとするが力では到底叶わない。ひたすらに角度を変えながら
何度も触れ合う唇、それは数分続きゆりの呼吸はどんどん乱れ
顔を真っ赤にさせていた。近くに感じる吐息は東郷の欲情を誘った。
「っはぁ…はぁ……///」
「っ……」