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藤ヶ谷パパの娘は人気アイドル!−Season2−

第14章 ☆Story32☆ 逃げられない


「っ……!」


思わず起き上がったゆりは扉の方を見た。
視線を向ければ仕事から帰ってきたであろう東郷の姿があった。


「っ東郷さん……」

「オレの言う通り、逃げ出すこともなく大人しくしていたようだな。」

「っ……」


東郷はジャケットと帽子を脱ぎポールハンガーにかけると
ゆりの元にやって来た。
そしてベット近くのテーブルにオシャレな紙袋を置いた。


「土産だ、マリトッツォっていう菓子らしいな。」

「っ……ありがとう、ございます……なんで……」


どうやら東郷は出先で菓子を買ってきたようだ。
ゆりは不思議そうに見上げた。


「オレが女に菓子を買ってくるのが変か?
人並みに扱ってやってんだ、好意はありがたく受け取っておけ。」

「っ……はい、」
(偉そうに……)


ゆりは思うところがあったがそれを口にすると
また何されるか分からないので素直に頷いた。マカロンもまだ
3つ残っていたがせっかくなのでマリトッツォをいただく事にした。
中を出して見てみれば苺をはじめマスカットやマンゴーなど
彩りのフルーツが入ったマリトッツォが2つ入っていた。


「……おいしそ……」
(苺とかマンゴーがゴロっと入ってる……)


ゆりは早速ひと口食べてみる事にした。
「アムッ」と口に運べばフルーツとクリームがマッチした程よい甘さが
口中に広がった。スイーツなど甘いものが好きなゆりは
思わず頬を染めた。そんなゆりを見て東郷はフッと軽く笑った。


「気に入ったようなら何よりだ。
最近、北京の女を中心にイタリア菓子が流行っているらしいな。」

「へぇ……アムッ」
(美味しい……)

「……おい、クリームが付いてるぞ。」

「え!?」
(っ早くティッシュで拭かなきゃ……)


_グイッ!


「っ!?」


ゆりがティッシュボックスからティッシュを取ろう手を伸ばした時
その手を掴まれそのまま東郷に引っ張られた。
お互いの顔が近づいた瞬間、
ゆりの口元についたクリームをペロっと舐め取った。


_ペロッ…「……あまっ、随分甘いクリームだな。」

「っ……///_カアァァァ…!
っな、何すんですか!!!」_ドンッ


ゆりは顔を真っ赤にしながら東郷を押し戻した。


「ふっ……」
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