第14章 ☆Story32☆ 逃げられない
「ゆりッ!!!!_ガバッ!
……っ…夢……?」
勢いよく起き上がる憲吾。
スマホの時計に目を向けてみれば時刻は2:00、まだ深夜だった。
憲吾は片手で頭を押さえながら「はぁ」と一息。
また随分と嫌な夢を見た……。
「っあの男は、一体誰なんだよ……」
(少なくとも、出雲ではなかった……
アイツが、本当にゆりを……)
もし夢と同じあの男が今もゆりを犯していたらと思うと
怒りや喪失感などあらゆる感情の波が押し寄せてきた。
「っゆり……_コンコン「三船くん、大丈夫ですか?」っ!?」
憲吾の声に気づいていたのか翔が部屋の扉をノックしてきた。
慌てて憲吾はベッドから降りると部屋のドアを開けた。
その目の前には少し心配そうに憲吾を見る翔の姿があった。
_ガチャッ「っ櫻井さん……」
「先程、隣から三船くんの声が聞こえまして……
また嫌な夢でも見たのですか?」
「っ……まぁ……起こしてしまって、すみません……
明日もまた忙しいのに……」
「いえ、お気になさらずに。
三船くんの心境を考えれば、悪夢を見てもおかしくありません。
……眠れそうですか?明日は夕方に行動を起こすとはえ
今疲れを残すわけにはいきませんが……」
「っすいません、俺は大丈夫です……心配をおかけしてすみません。」
「……よろしければ、ハーブティーはいかがですか?
心がだいぶ落ち着きますよ?
私もいまいち眠れないので、ハーブティーを飲んでいたんですよ。」
「っ……じゃあ、頂いてもいいですか?」
「もちろん(微笑)
よろしければ、隣の私のお部屋にお越しください。」
「はい……」
憲吾は翔の部屋に入り
ハーブティーをティーカップに注いでもらい飲む事にした。
飲むと体がポカポカと温かくなってきた。
「っおいし……」
(確かに、心が落ち着いてくる気がする……)
「お口に合って何よりです。」
「……櫻井さんも、あまり寝れてないんですか?」
「まぁ……日本の治安に関わることばかりですからね……
あまり寝付けない時の方が多いですよ。
特に、計画を実行に起こす前日の夜は……。」
「……明日、計画が上手くいけばいいですね……」
「えぇ、本当に……ただ、きっとあの仮面ティーチャーなら、
必ずゆりちゃん達を救ってくれますよ……」