第14章 ☆Story32☆ 逃げられない
「何せお前は、玉森百合の娘なんだろ?」
「っ!?
な、なんでそんな事……」
東郷の言葉に驚きを隠せないゆり。
「そんなの、調べればすぐわかる事だ。
それに、お前は母親の生き写しのようにそっくりだしな。」
「っなんでママのこと知って……っ!
もしかして……」
(多分年齢は藤ヶ谷さんあたりと変わらない感じだし現役時代のママを
知っててもおかしくない……もしかしてこの人もママが……)
「なんだ?そんなに人の顔を見て、」
「っ貴方って……
もしかしてママのことがすk_ドン!「口が過ぎるぞ。」っ!?」
突然東郷に押し倒されるゆり、サングラスを掛けてるため
表情はよくわからないが悪寒が走るような冷たさはあった。
組織のトップであることは間違いないようだ……。
「オレはあくまで母親に似てると言っただけだ。
親子でここまで似るなどそうそうないからな……」
「っ……」
「……確かに、現役時代の母親は知っている。
顔もタイプかそうじゃないかで言えばオレの好みに入る。
だがそれ以上の感情はない。覚えておけ。」
「っ……ごめん、なさい……」
思わずゆりは目線を東郷からずらしながら謝った。
だが片手東郷に両頬を掴まれ視線を戻らせた。
_グイッ
「っ!」
「謝る時はちゃんと目を見て謝れ。
親に習わなかったのか?」
「っ……ごめんなさい、東郷さん……。」
今度は目を合わせ謝るゆり、
東郷は頬から手を離しベッドからも離れた。
これ以上何もされなかった事にホッととするゆり。
東郷は用意されていた朝食であろうお盆を持ってきた。
「腹もそろそろ減っただろ。
昨日はあのゼリーしか食べていなかったようだからな。」
「っ……」
ゆりの前にお盆を置く東郷。メニューは洋食、
主食もパンなので食べやすそうだったがゆりは少し警戒した。
「毒なんて盛ってねえよ……あの薬だって入ってねぇ。
それに、オレはそんな薬に頼るほど落ちぶれてねぇからな。」
「っ……いただきます。」
ゆりは手を合わせるとパンを手に取ってちぎって食べる。
パンはとてもモチモチとしており美味しかった。
_モグモグ
「っ……おいし、」