第14章 ☆Story32☆ 逃げられない
「っ……」
「確かにあれなら、
お客さんや中継で見る日本のファンは気づかないと思うよ……けど、」
「けど?」
「やっぱり、日頃からゆり達を間近で見てたり偽物だって
わかってるからだと思うんだけどやっぱり機械的っていうか……
本当に楽しんでるっていうことが伝わってこない気がするんだ……」
「……まぁ、本物みたいと言えど所詮はアンドロイドだからな。
精巧にプログラミングされても、心までは同じにできねぇよ……」
「明日には、ゆりたち戻ってくるといいね……」
「あぁ、そうだな……」
(早く叶輔も、ゆりに会わせてやりたい……)
こうして一日が終わっていき明日はいよいよライブ当日。
太輔達はいつも通り過ごすという翔の指示により予定どおり
観光に行くことになった。正直心の底から楽しめる気はしなかったが
ゆり達が無事帰ってくることを信じることにした。
翌日の早朝4時、5時から始まる朝市に行くために太輔達は早めに起きた。
さすがの太輔も4時に起きることはそうそうなく少し眠かった。
「余裕もって早めに寝たけど、ちょっとねみぃや……顔洗ってこよ……」
太輔は起きて早々顔を洗うため洗面台に向かった。
ちなみに百合をはじめ朝に弱い玉森家、早く起きたとはいえ
頭はまだぼーっとしており頭を揺らしていた。
「「ふわぁ..zzz」」
((頭がぼーっとする……))
_ピチャピチャ
「……ふぅ、だいぶ頭が冴えたな。裕太くん達、大丈夫かな?」
フェイスタオルで顔を拭くと太輔は3人の様子を見に行った。
案の定まだ眠そうだった。
「「うぅぅ……(_ _).。o○」」
「っちょみんな……って裕太くんまた寝たけど大丈夫!?
顔洗ってこいよ、頭冴えるぞ?
っほら、お義父さんとお義母さんも……」
太輔は裕太をはじめ3人を洗面台に連れて行った。
その様子を見ていた百合達はくすくすと笑った。
_コソッ『パパ大変ねw』
_コソッ『だねw』
こうして着替えも終わらせ出かける準備は整った。
太輔はトートバッグに百合と叶輔を入れたが
やはりぬいぐるみ2体入れるだけでなかなか窮屈さだった。
「……汗」
(っ悪いが、しばらく我慢してくれ……)
『『……怒』』←
((狭い!!!))