第14章 ☆Story32☆ 逃げられない
叶輔の喋るところにも慣れてきた太輔、ぬいぐるみの姿とはいえ
自分の息子になるはずだった叶輔と話すのは凄く居心地が良かった。
『えええ!?母さんと父さん、しょっちゅう監視してたの!?←
親バカにも程があるでしょ!』
『っだってぇ……ゆりの恋愛事情気になったんだもん!
……ねぇ太輔?』
「っ俺に振るなよ……!
お前が勝手にやり始めたんだろ!?」
『太輔も見てたんだから同罪でしょ!!』
「っ……」
『っもぉ……これ知られたら絶対ゆりちゃんに嫌われるよ?』
『う゛!
っで、でも!ゆりに知られる可能性は超少ないし!』←
「……。」
太輔はそっと視線を横にずらした。
思っていることは百合と一緒なのだろうか……。
『僕もわざわざゆりちゃんに言うつもりないけどさ……』
叶輔はちょっと呆れた様子で両親を見る。
『っねえねえ叶輔!』
『今度は何母さん……』
『ゆりの恋愛事情覗いちゃったお詫びに……
私たちの恋愛事情聞くっ!?馴れ初めってやつ♪』←
「っ!?」
『別にそんなの興味ないしただの惚気だから嫌。』←
『う、うぅ……涙』
「っさすがの俺も、
そんなにはっきり言われるとちょっと傷つくわ……」
『ゆりちゃん周りで精一杯だからそういうの!』
『えぇ……』
ちょっとガッカリする百合だが叶輔は気に留めなかった。
『全く母さんは……父さんも大変だよね。こういう人が奥さんで、』
「っははは……。だなぁ……(苦笑)」←
『コラ太輔!!怒
……っげ、やば!そろそろお兄ちゃん達帰ってくる!』
「っマジかよ……」
(確かに裕太くん達出て行ってからそれなりに経ったもんな……)
太輔は百合と叶輔を抱き上げ元いたソファーに戻した。
そのタイミングで裕太達が部屋に戻ってきた。
「ただいま兄さん!
やっぱりここのホテル凄いよ、設備が凄い整ってるし!」
「そんなに凄いのか……なら俺も見てくればよかったな(苦笑)」
「あ、そう言えばトレーニングルームもあるんだけど
そこでゆりのアンドロイド達が筋トレしたり
振り付け踊ってたりしてたよ。しかも、完璧だったよ……」
「っ……」
(それほど精巧にできてるのか……組織が作ったアンドロイドって……)