第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
部屋に入った太輔達、太輔は抱えていた百合と叶輔を
とりあえずソファーの上に座らした。
「……。」
(部屋裕太くん達の一緒なのはいいけど、
あまり百合と話せなそうだな……)
「……なんか、あのゆりが偽物でホッとした分
モヤモヤは取れないよね……」
「まぁな……本物のゆりが無事じゃなきゃ、
意味ないもんな……っ」
(っゆり……お前は今どこに居るんだ。
無事でいてくれるよな……?)
太輔は椅子に座りながら肘をついた。
今はただゆりが無事かどうかだけが気がかりだった。
「……太輔くん、大丈夫か?」
「っ大丈夫ですお義父さん……ただ、
やっぱりゆりが今どうしてるか……」
「信じましょう、ゆりちゃんが無事な事を……」
「そうですね……そうするしか今は……」
本物のゆりがここにいない今、太輔は不安でいっぱいだった。
そんな太輔の様子を感じ取っている裕太達も複雑な思いで見た。
その一方で百合はどうにかして叶輔と話せないか
再びテレパシーで呼びかけていた。
『っ……』
(っやっぱりだめだ……叶輔が喋れないのは、
もしかしてゆりが近くにいないから?……いや、
私は太輔が仕事に行ってても普通に動くことも話すこともできる……
ならやっぱり……神様のところに?一体、どうなっているんだろ……)
百合が何も喋れずにいると、突如百合の頭の中には
神様の呼ぶ声が聞こえてきた。
【百合……叶輔の魂は私が預かっている。】
『っ!』
(やっぱり神様のところに叶輔は……!
っなんで叶輔を呼び戻したんですか、ユウはあのあと元通りに!)
【叶輔は私との約束を破った。
娘以外に正体がバレるなど、あってはならぬこと。】
『っ……』
(それはタイスケくんの時だって……!タイスケくんの時は
怒っただけで済んだのに何で今回は!!)
【一度許す事はあっても二度許す事はない。それに、娘は
急激に成長している。叶輔が居なくてやっていけるほどにな。】
(だからって叶輔の魂を……まだちゃんとお別れもしてないのに!
っ叶輔は、なんて言ってるんですか……)
【できる事ならユウの体に戻りたいと言っている。】
『っ!』