第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
「「「っ……」」」
全体が何も言えない状況の中、瑛二が口を開いた。
「皆さん、今の話を聞いて納得していない者もいるでしょう……
特に、ご家族の方であれば尚更です。ですが私は、
櫻井総監の言葉を信じることにしています。……よく考えてみてください。
彼らがいなければ我々はゆり達が偽物であり
アンドロイドである事を突き止められなかっただろう……。」
「「「っ……」」」
「それに、我々がゆりたちを助けられることが出来るか?
現にSPや警備員だけでは守ることができなかった。なら、
助け出すこともできるはずない……。」
「「っ……」」
「今我々は、櫻井総監達を信じるしかない。
彼らに託すしかないんだ。……だから、
皆さんも櫻井総監の言葉を信じてください。」
「っ……」
(結局そうすることしか今の俺たちには何もできない……
でも、櫻井さんならきっと……だって、百合の時だって
かなりギリギリだったがちゃんと無事に終わった……だから、
今回もそうなると信じるしか……)
太輔は翔を信じることにした。だが宏光をはじめとする他の保護者は
どうなのだろうかと気になり横目で様子を伺った。
北山家
「っ親なのに何もできないのかよ……!
今頃来海だって、どうなってるかわからねぇのに……」
「っ貴方……でも、私たちにはどうすることも出来ないわ。
……15年前の時だってそうだったじゃない……」
「っ……!」
(っそうだ、確かに櫻井さんはあの時の百合ちゃんを……
その時俺らは何も……)
有栖川兄弟
「兄さん、櫻井さんを信じるしかないよね。」
「あぁ……俺が犯した罪、あの人がいなければ今もどうなっていたか……
今俺は、あの人のおかげでこうしていられるんだ。
愛美達も、絶対大丈夫なはずだ。」
それぞれ思う事はあるらしいが15年前の雅が主犯となった
百合の誘拐事件を経験している人物達は瑛二の言葉で
今は翔を信じるしかないと思うことにした。
「美澤社長、ありがとうございます。」
「いや、今の私たちには何も出来ない事は確か……だが、
これだけは約束してほしい。」
「……。」
「ゆり達を絶対助けてくれ。あの子達は、俺達の希望だ。
その希望が失うような事があれば……」
「……当然でございます(微笑)」