第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
「だってママはもう死んでるじゃん。」
『っ……』
「っゆり……なんてこと言うんだよ……」
(目の前には百合だっているのに……それに、
ずっとママは見守ってくれてるってあんなに信じてたのになんで……)
太輔も思わず涙が出そうになったが堪えゆりに言葉をかける。
「っ俺……昔から言ってたよな?お前のママは、
ずっとお前や俺たちを空の上から見守ってくれてるって……」
「死んでるのにどうやって見守るの?
それに、ママって私が赤ちゃんの時死んだじゃん。
だから正直ママのことなんて全然覚えてないよ。」
「「っ!!」」
『っ!』
(っそんな……)
ゆりの、
『ママを全然覚えていない』と言う言葉はその場にいる全員を驚愕させた。
そして太輔はその場から思わず後ずさった。
「っ……お前、誰だ……?
っゆりは……俺たちのゆりはこんなこと……っ!」
そしてゆりをよく見てれば、
あのネックレスを着けていなかった……。
「っお前……ネックレスはどうした?
ママが天国に行った時、ママがお前に託したネックレスは……!」
「「っ!?」」
「っネックレス……っ確かにここ最近、着けてなかったような……」
涼介も記憶を思い出してみれば
ソウルに居た時はずっとネックレスを着けていたゆり、
ここ最近は着けているところを見ていないと思い出した。
「ぇ……何それ……」
ネックレスのことを指摘されゆりは何の事か分からず
目を見開いて驚きを隠せずにいた。
_ガシッ!「っ……本当に何も覚えていないのかよ!!」
「っ……」
太輔は思わず叶輔と百合を床に落としてしまい、
ゆりの肩を掴んだ。落ちた2体は涼介が拾い上げ涼介も辛そうに
親子のやりとりを見つめた。再び抱き抱えらた百合はあまりにも
娘の言葉がショックで心は今にも壊れてしまいそうだった……。
「っゆり!!
っお前はゆりなんだよな!?何も覚えてないって嘘だよな!?」
「っ……」
太輔の言葉に視線を逸らすゆり。
太輔は目の前にいるゆりから「全部嘘だよ」と言う言葉を
聞きたかったがその言葉をゆりから聞けることはなかった……。