第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
そしてゆりの部屋の前までにやって来た一行、
涼介が声を掛けるとゆりは元気な声で返してきた。
_コンコン「ゆりちゃん!お父さん達来たよ!」
「本当ですか!?今開けますね!」
「っ……」
(ゆり……)
直接ゆりと会うのは数ヶ月ぶりになる太輔、
少し緊張していると部屋のドアが開かれた。
開かれたドアの先には笑顔を見せるゆりの姿があった。
「パパ!」_ぎゅうっ!
「っおい!?」
(まるで昔の百合だな……汗)
そして太輔を見るなり抱き着いてくるゆり、
太輔は思わず後ろによろめいたがゆりを抱きとめ頭を撫でた。
「っ凄い元気だな……普段のお前なら抱きついてこないのに……」
「だってずっとパパに会いたかったもん!
それに伯父さんにおばあちゃんとおじいちゃんも来てくれたんだね!
みんなにも会いたかったよっ!」
無邪気な笑顔を見せる姪っ子及び孫に思わず口が緩む裕太達。
裕太は思わずゆりに抱きついた。
_ぎゅうっ!「俺も会いたかったぞぉ!」
「うわっ!伯父さん少し苦しいよ笑
パパにも挟まれてるからサンドイッチみたいになってるじゃん笑」
本来なら恥ずかしがって太輔に抱きつくこともなく
裕太から抱きつかれれば若干嫌がるのがいつものゆり、
だがこのゆりは本物のゆりではなくアンドロイド。
太輔は普段と少し違う雰囲気は感じたがそれほど違和感は感じなかった。
「ふふふ……ゆりちゃん、余程パパに会いたかったのね?
あんなに喜んだ顔見るの本当に小学生以来じゃないかしら?」
「確かにそうかもな笑
……山田くん、本当にゆりちゃんは様子がおかしいのかい?」
「っ……」
孫が喜んでいる姿を見て安心した有希子と裕志、
本当にゆりはおかしいところがあるのか疑問だった。
さっきまで険しい表情をしていた太輔も久々に娘に甘えられて嬉しいのか
満更でもないような表情を浮かべていた。そんな様子を見ていた涼介は
複雑な思いを抱えながら見つめた……。