第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
「……死んだママのこと、
いつまでも引きずるわけにはいかない。って言いました……。」
「「っ!?」」
『っ!?』
(ゆり……?
ゆり、なんでそんなことを……)
百合も涼介の言葉に驚きを隠せず
思わずバッグの中で涙を流してしまった……。
「それに……世界を目指すのに、
いちいち家族のこと気にすることなんてできないって……」
「「っ……!?」」
「っ!」_グイッ!
「っ……」
「っ兄さん!!」
涼介は視線を太輔達から逸らしながら言いづらそうに言葉を続けた。
そんな涼介に思わず太輔は胸ぐらを掴み裕太はそれを止めようとした。
「っゆりがそんなこと言うはずねえだろ!!!
何馬鹿なこと言ってんだよッ!!!」
「っ俺だってそう思ってるよ!!けど!!
ゆりちゃん本人がそう言ったんだよッ!!!」
「っ……!」
いつもは太輔に敬語だった涼介、
だがそんな涼介も感情を露わにするよう声を荒げた。
「っ兄さん、落ち着いて……
涼介だって、苦しいんだからさ……」
「っ……悪い山田くん、急に……」
「っ俺だってこんなに心苦しいんです……貴方なら、尚更ですよ……」
太輔は涼介から手を離し涼介は一筋の涙を流した。
「山田くんは、
俺がいない間ずっとゆりを見ててくれていたもんな……
なのに俺は……ごめんな……」
「いえ……でも、
そんな信じられないくらい今のゆりちゃんはおかしいんです。
まるで、中身だけ誰かと入れ替わったかのように別人で……」
「っ別人……」
(もしかして、あの襲撃の時に組織側から何かされた……?
それなら、他のみんなも様子がおかしいことに納得はいく……
でも確証はない……やっぱり、ゆりに直接会うしか……)
「……もしかしたら、
今のゆりちゃんを見たら少しショックを受けるかもしれません。
……ゆりちゃんのところに、行きますか?」
「っ……行くに決まってるだろ。
その為に、北京まで来たんだ……ちゃんと、確かめる。」
_コクッ「わかりました。では、ゆりちゃんの部屋に案内しますね。
ゆりちゃんも、皆さんに会いたがっていますから……。」
「っ……」
(ゆり……一体お前の身に何が起きてるんだよ……)