第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
涼介が手に持っているテディベア・ユウ。
なぜユウがこんなにも縫傷だらけなのか頭が追いついていかなかった。
「っk…ユウ……なんでこんな姿に……」
(あの夜百合が見た光景……本当にこのユウは……)
思わずユウを叶輔と呼びそうになったが踏み止まり涼介から受け取る。
概ね修復されているとはいえあまりにも傷が多すぎた……。
「っ涼介!一体何があったんだよ!!
っまさか、これをゆりがやったって言うの!?」
「「っ!?」」
『っ!?』
(っまさか!ゆりがそんなことするはずないじゃない!)
裕太の言葉に驚きを隠せない太輔達。だが涼介は首を横に振り
言葉を続け苦虫を噛み潰したような表情を見せた。
「いえ……ゆりちゃん本人は事件の時眠っていました。
襲撃があったということさえも、分からなかったくらいに……。
恐らくは部屋に侵入した奴がやったんだと思います。
理由は……っわかりませんが……」
「っなんでこんなに八つ裂きする必要があるんだよ……」
(っ叶輔……お前はまだ喋れるのか?俺の前で話すことはないとは
思うけど……なんでゆりが持っていないんだ?
八つ裂きにされても、こうして山田くんが直してくれた。
ゆりもそれを喜ぶはずだ。なのに、なんで未だ山田くんが……)
「っなんて酷い奴らなんだよ!!
これはただのぬいぐるみじゃないのに……!妹の……
百合の大事なぬいぐるみで、それをゆりにも託して……」
百合、ゆりと共にユウをプレゼントした裕太は
目に涙を浮かべながらユウを見た。
『っ……』
(っ叶輔……叶輔聞こえる?
私よ……お母さんよ!!)
百合はこっそりと叶輔にテレパシーを送ったが
反応は返ってこなかった……。
『っ……!』
(っなんで!?なんで何も返してくれないの!?
もう貴方は喋れるはずなのに……!)
百合もショックを隠せずバッグの中へ力が抜けるよう落ちていく。
その様子に気づいた太輔は心配そうに見下ろした。
「っ……」
(っ百合、急にどうしたんだ……)
「……まだ、
なんでユウがこんな事になったかは原因が分かっていません。
ですが、ゆりちゃんは受け取りを拒否してるんです。」
「「っ!?」」