第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
数時間ほどで北京首都国際空港に着いた。
「皆さん、飛行機の長旅お疲れ様でした。
ご気分が悪い方はいらっしゃいますか?」
明人は全員を見渡し体調を聞いた。
だが特に体調を崩した人はいないようだ。
そして飛行機から降りれば、
涼介をはじめとする数人のスタッフが太輔達を迎えた。
「っ山田くん……!わざわざ来てくれたのか?」
太輔は少し驚いた様子で涼介を見た。
涼介はゆりの専属マネージャーである故に
ゆりに付きっきりでいると思っていた為驚きを隠せなかった。
「はい。僕も早く皆さんにお会いしたくて来ちゃいました(苦笑)
……皆さん、長旅お疲れ様です。ここからはバスでの移動になります。
みんな……皆さんをお待ちになっています。」
「っ山田くん……?」
太輔は涼介の顔がイマイチ優れていないと感じた。
やはり、ゆり達には何かが起きていたのだと直感した。
涼介はスタッフらと共にバスまで案内。すぐ後ろを歩いている太輔は
涼介ならきっと自分から話してくれると確信していた。
そうでなければ、たかが送迎でチーフマネージャーである涼介が
わざわざ来るわけがないからだ……。
太輔らが荷物を預けている間、すでにバスに乗り込んでいた涼介と瑛二。
2人は数日前の事件について話していた。
「……美澤社長、
皆さんに例の事件のことは話していないんですね?」
「あぁ……
せっかく楽しみにしているところに、水を差すのもどうかと思ってね……
涼介は、やはり伝えるべきだと思っているのか?」
「はい。今ゆりちゃん達が無事とはいえ、事件は起きています。
ゆりちゃん達はまだ当然子供です。
保護者には、きちんと伝えるべきだと思います。」
「……その為にわざわざ、今日は来たんだな?」
「はい。」
「……わかった。お前から説明してあげなさい。
私が話すより、昔馴染みである君の口から伝えたほうがいいだろう。」
「ありがとうございます。」
そんな話をしているうちに、メンバーの家族が続々とバスに乗りこむ。
全員いることを確認すると涼介は席から立ち上がった。
その様子に家族らは驚いた様子を見せていたが、
太輔はじっと涼介を見ていた……。