第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
空港に着き民間人には目がつかない専用ルートで集合場所に向かった。
集合場所にはすでに数人の自衛官が到着していた。
憲吾は少し緊張しながらも自衛官たちに挨拶をした。
「っ三船憲吾です……よろしくお願いします。」
「よろしく三船くん。では早速これに着替えてくれないか?
サイズは事前に言われているから問題はないはずだが……」
「ありがとうございます。すぐに着替えます。
……あそこで着替えればいいですか?」
「あぁ、荷物は一旦預かろう。
着替え終わった服はこの袋に入れてくれ。荷物と一緒にまとめておく。」
「ありがとうございます。」
軽く会釈をすると試着室のような個室のカーテンを開け
そこに入り自衛官の服に着替えた。
サイズはぴったりであり違和感もなかった。
「お待たせしました。」
「お!なかなか似合っているじゃないか。
櫻井総監、三船くんの着替えも済みました。」
「ありがとうございます。では早速、北京に向かいます。
三船くん……心の準備はいいですね?」
「はい。もう覚悟は出来ています。」
「……では参りましょう。」
翔は憲吾を見て頷くと潤と自衛官を引き連れ航空機に向かう。
憲吾は先程の自衛官の隣を歩くよう指示を出された。
そして航空機に乗り込みエンジン音がどんどん大きくなりいよいよ離陸。
ゆりたちがいる北京へ向けて出国した。
憲吾たちが北京に発った後、
太輔も出発の準備を百合と共に進めていた。
「いよいよ北京か……ゆりたち、無事だといいんだが……」
『あれから、叶輔とも連絡が取れないのよ……でも、
事務所からはまだ何も連絡来てないよね?』
「あぁ……でも、叶輔のことは本当に気がかりだな……」
『っあのまま、捨てられたことなんてないよね……?』
「っまさか……!
そんな馬鹿なことあるはずないだろ……仮に誰か捨てようとしても、
きっとゆりは引き止めるはずだ……。」
『っうん……』
「ゆりたちを……信じよう。」
『そうだね……今の私たちにできることは、それだけだもんね。』
太輔は少し不安そうな百合の頭を優しく撫でてやった。
そして時間はあっという間に流れ集合場所に向かう時間となった。