第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
ゆりがまだ眠っている頃、
7時に翔たちが迎えに来ることになっている憲吾は目を覚ましていた。
着替えたあとはショルダーバッグにまとめた荷物の中身を確認した。
「スマホと財布があれば十分だが、
念の為パスポートも入れておくか……」
ちなみにパスポートは去年の修学旅行で海外に行く際に申請したもの。
そして棚の上に置いている貝殻のネックレスを手に取り首にかける。
これはゆりと付き合う前、海水浴に行った際
ゆりが憲吾にくれたものだ。それ以来貝殻をネックレスにして
夏祭りの際はそれをつけた。
「このネックレスつけるも、夏祭り以来だな……ゆり、」
(今は6時半か……
あと30分くらいで松本さんが来る……いよいよか、)_ギュッ
憲吾はネックレスを握り締め服の中へしまった。
そして予定通り7時に潤が迎えにきた。
_ピンポーン
「来たか……」
玄関の扉を開ければ潤の姿があった。
「三船様、お迎えにあがりました。
準備のほうはよろしいですか?」
「はい、大丈夫です。
……よろしくお願いします。」
「では櫻井総監の元へ参りましょう。」
「はい。」
憲吾は鍵を閉め潤の後をついていった。
少し離れた場所に車は停めてあり昨日とは違い黒いリムジンだった。
潤はその後部座席の扉を開けた。
「どうぞ。」
「ありがとうございます、松本さん……
櫻井さんも、おはようございます。」
中に入れば翔も座っていた。
「おはようございます、三船くん。
昨日はよく寝れましたか?」
「っ正直なところ…あまり……」
「無理もないですね……ですが多少の長旅になります。
今のうち体を休めておいてください。」
「っはい……!」
「空港までは約30分、その間に朝食を頂きましょう。」
「ありがとうございます。
お言葉に甘えて、頂きます。」
ちなみに車内は食事をするスペースは十分に確保されている為、
すでにお弁当が用意されていた。
2人は朝食を食べ終え、再度翔からこれからの流れを聞いた。
まず空港に着き次第同行する自衛官と合流したらすぐに着替えて出国、
現地に着いたら滞在の際拠点となる本部へ向かうことになっている。