第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
「っ……」
拘束されていない様子や出雲が自分を好いている事を考えれば
すぐ何かをされるとは思えなかった。
ゆりはそれに希望を見出し逃げるチャンスを伺うことにした。
「……君たちは、もうここから逃げ出すことはできないよ?
うちのボスも君たちを気に入ったようだからね。」
「っだからってこんな!!
っ……貴方は、貴方にとって私はどんな存在なんですか……」
「そんなの決まっているじゃないか……恋人のように君が好きなんだ!
愛しているんだよ!!!」
「っ……そんなこと、急に言われても……
私は貴方のことなんて何も知らないし……」
(この人はヤラカシの1人ってこと?でもだからってこんな方法で……)
「これからお互いを知っていけばいいじゃないか……!
僕は出雲暁彦、君がデビューしてからずっと……
君だけを応援してきたんだよ!」
「っ!?」
(出雲、暁彦?っまさかあの殺人犯……?
でも、圭吾さん達が逮捕したって涼介さんが言ってたし……
それならここにいないはず……どういうこと……)
目の前にいる男が殺人犯だとわかり顔を青ざめるゆり。
ゆりは自分も殺されるのではないかと急に不安になった。
「っ……貴方って、逮捕されたんじゃ……
今は日本の刑務所にいるんじゃ……」
「なんだ!君も僕のこと知っていたんじゃないか!」
「っや……」
(この人、私と同じ歳の子を殺して……)
さらに後退りをするゆりだがベッドのヘッドボードにぶつかり
これ以上後ろに下がることができなかった。
そして出雲はベッドに乗り上げ近づいてきた。
「っいや!来ないで!!」
「何でそんなに逃げるんだい?……ああ、
もしかして僕が殺人犯だから?でもそれはあの子が悪いんだよ。」
「っ何で……!
殺された女の子は何も悪くないはず!!」
「だってあの子、君の真似をしていたんだよ?
似合いもしない君と同じ髪型にして、私服まで真似して。」
「ったったそれだけで!?
それだけの理由で何の罪もない子を殺したって言うの!?」
(その女の子、
もしかして私のファンだったくれた子だったんじゃ……)
「君は唯一無二の存在なんだよ!!
似た真似をした二番封じは要らないんだよ!!」
「っ狂ってる……」