第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
翔を見上げる憲吾、
なぜここにいるかが疑問だが偶然とは考えにくい。
自身に用事があって現れた事に間違いない……。
「っ俺に、一体何の用が……」
「……実は、ゆりちゃんのことでお話があります。」
「っ!?」
(まさか……本当にゆりは……)
目を大きく開いて驚きを隠せない憲吾、思わずベンチから立ち上がった。
「っやっぱり!
ゆりの身に何かあったんですか!?」
「落ち着いてください三船くん……
貴方がそこまで取り乱すと言うことは何かありましたね?」
「っ……」
「ここではあれですし……お時間は大丈夫ですか?」
「っはい……
どうせ俺には心配する親もいないんで、大丈夫です……」
「では私の車でお話し致しましょう。
こちらへどうぞ?」
「……はい、」
憲吾は翔の言うとおり車まで移動した。
後部座席に乗ると運転席にはもう一人の男、潤がいた。
「彼は僕の秘書である松本潤です。
特に気に留めなくて大丈夫ですので。」
「は、はぁ……」_ペコリ
とりあえず軽く会釈だけする憲吾、潤も応えるように会釈を返した。
「さて、早速私が伺ったわけですが……
ゆりちゃんのことで、何かありましたか?」
「……さっき、ゆりに電話を掛けたんです。
ちょっと、目覚めの悪い夢を見て少し不安になって……」
「ゆりちゃんは電話に?」
「出てくれました。
けど、様子がおかしくて……うまく言えないですけど、
ゆりがゆりじゃない気がして……」
「……やはり、」
「っやはりってどう言うことですか……!」
「この案件は本来、我々上層部や公安警察で調査しており
一般警察にも情報を漏らしていない案件です。」
「っそんな大事なこと……何で俺に……」
(いくら俺がゆりの彼氏だからって……だったら、
ゆりたちの家族に伝えるべきなんじゃ……)
「率直に言います。先程貴方が話していたゆりちゃん、
あれは組織が作り出した精巧なアンドロイドです。」
「っ!?」
(アンドロイド……
ゆりが俺のことを何も覚えてないのはそれが原因で……)