第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
憲吾side
部活も終わり、普段であれば自主練に入るところだが
憲吾はあの時見た夢を忘れられず不安に感じていた。
時間的に微妙ではあったがゆりに連絡してみることにした。
電話越しで話すのはソウルにいた時で流星群が流れた日以来だ。
「……迷惑、かな……けど、」_プルルルル…
しばらくコールが鳴り続け、ゆりは出る気配がなかった。
やはり北京のライブ前で忙しいのだろうか。
憲吾が諦めて電話を切ろうとした時ゆりの声が聞こえた。
『もしもし……?』
「っもしもしゆりか?
急に電話して悪い……今、大丈夫か?」
『……はい、』
だが電話越しから聞こえてくるゆりの声に少し違和感を覚えた。
疲れているのかもしれないが、ゆりならもっと元気よく
電話に出てくれるからだ……憲吾は違和感を覚えながらも会話を続けた。
「っ良かった……別に、大した用事じゃないんだ。
最近、LINEでもあまり話せてなかったからその……
体調とか大丈夫かなって……」
『私は大丈夫ですよ。えっと……三船さん。』
「ぇ……?」
三船さん……?
まるで最初会った時と同じように俺のことを呼ぶゆり、
一瞬この間の時みたいにふざけてるのか思ったが
声のトーンといい敬語、それに他人のような呼び方……
『……えっと、私何か変なこと言いました?(苦笑)』
確かにゆりの声だが、これはゆりじゃない……。
でもそんなことあるか?ただ機嫌が悪いだけかもしれないしれない……
憲吾はこの時、ゆりがゆりではないと直感で感じた。
「っ……いや、何でもない……あのさ、」
(ちょっと仕掛けてみるか……)
『はい、何ですか?
三船さん。』
「俺らが最後に電話したのってソウルにいた時だろ?
その時俺が送った写真……覚えてるか?」
(いくら何でも簡単過ぎたか……)
憲吾はあまりにも質問が簡単過ぎたかと思ったが、
ゆりは少しも覚えてないような素振りだった。
『ぇっと……写真?』
「……。」
(やっぱり……)
今ので確信した。
『っちょっと待って、今記おk「お前は誰だ?」え……』
コイツはゆりじゃない……。