第13章 ☆Story31☆ ホンモノのアイドル、ニセモノのアイドル
「っ偽物……?」
(どう、いうこと……?)
伊集院の言葉の意味が全く理解できないゆり。
その場で思考停止してしまった。
「っ偽物ってどういうことよ!!私たちは本物のDolceよ!!」
「そう、君たちはオリジナル。
だが……もうアイドルとしてのオリジナル性はない(嘲笑)」
「……仰ってる意味がわからないわね、伊集院さんとやら。
……まさか、私やゆり、愛美がホテルで見ていた来海達は
貴方に作られたクローン人間とでも言いたいの?」
これまで黙っていた千鶴も伊集院に口を開いた。
「まさにおっしゃる通りだよ千鶴ちゃん。
どうだい?私の作品は……完璧なアンドロイドだっただろ!」
「っふん……余程暇なお方のようね、科学者っていうのは……」
「ククク……千鶴ちゃんは、思った以上に物を言うね……」
「作品だなんて、笑えない冗談ね。アンドロイド?ふざけないで。
アイドルは人間がやってこそ輝きを放てるもの……
たかがアンドロイドにそんなことできるはずないわ!」
「っ……そうだよ!きっと知念さんたちだって、
すぐ私たちの様子がおかしいってことくらい気づくはず……
いくら精巧に作られているからって、
私たちと同じようにできるわけない!!」
愛美も勇気を振り絞って伊集院へ反論を返した。
その瞳は今にも泣き出しそうだった。そして凪咲も続くよう反論した。
「最近はバイオテクノロジーや細胞に特化した研究が進んでいるとは
聞いているけど……どんなに見た目が精巧に作られていても、
心までは同じにできない!!みんなおかしいって気づくはずよ!!」
「っう、うぅ……慎ちゃんやみんなところに帰りたいよぉ……」
みんなが伊集院に反論していく中、
来夢は完全に恐怖に呑まれ泣き続けていた。そんな中、
思考が回復してきたゆりも伊集院に口を開いた。
「っらいちゃん……っ貴方は!
私たちそっくりのアンドロイドまで作ってどうするつもりなの!?
アンドロイドが私たちの代わり?……これからのライブも全部!
そのアンドロイドにやらせるってこと?っそれじゃ、
私たちはどうなるの……っまさか、
貴方達のモノになれとでも言うの……?」