第3章 ☆Story21☆ 動くそれぞれの歯車
「っ困ってることって……」
(困ってるって言ったら、班田さんのことかな……)
「……なんか、心当たりあんの?」
「っ……ぃえ……」
「……問題がでかくなる前に、言ったほうがいいんじゃないか?」
『もし何かあったら……素直に荒木先生に相談していいと思う……』
「っ……!」
突如ゆりの頭に以前太輔とした会話のことを思い出した。
「……やっぱりな(苦笑)
力になれるかはわかんねぇけど、言いな?」
「っ……あの、実は……」
「……。」
「一応、涼介さんや事務所の人たちは知ってることなんですけど……」
「うん……」
「っ実は、城国高校の班田さんっていう人に
目をつけられてるというかなんというか……」
(一番の目的は、憲吾だけど……)
「城国、か……確か、
不良高校で有名なところだったな……よし、わかった(微笑)」
「ぇ……」
剛太はゆりに優しい笑みを浮かべた。
ゆりはびっくりしたかのように剛太を見上げた。
「ありがとな!言ってくれて……
大丈夫、絶対……解決できるから……」
「ぇっと、荒木先生……?」
(ただの学校の先生なのに、なんで……)
「大丈夫……だってただの高校生だろ?
ゆりはビクビクしなくていいと思うよ、
家族や友達、み〜んながいるんだからよ!
もちろん俺もなっ(微笑)」
「っ……」
「だーかーら!
そんな気を落とすなって……万が一の時は、俺が助けてやっから……」
「ぇ……」
「最後のは俺の独り言!笑
んじゃ、昼休みもあと10分くらいだし、そろそろ戻るか!」
「……そうですね。」
(やっぱり、荒木先生って不思議な人だな……)
ゆりはそんな感情を抱きながら教室に戻った。