第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
「俺、は……」
「……。」
「っ……なん、ですかね……
ゆりと初めて会った時、どこか寂しそうだなって感じた。
ゆりが初めて俺のことを間違って『パパ』って呼んだ時も、
守ってやりたいって思った。その悲しみから……」
「当然、母親のことも知っているんですよね。貴方は……。」
「はい。ゆりから聞きました。
お母さんが生まれたたった5日後に亡くなったこと……それに加えて、
小学生の時からお父さんと離れて暮らして……寂しくないわけない。
たまに見せるゆりの顔からは、そう感じたんです……。」
「……でもゆりちゃんは、その悲しみに負けず沢山の人達に
笑顔や感動、希望を与えている。それを感じさせないくらいに……」
「っはい……
ここ最近のゆりやみんなを見てても、そう感じました。
すげぇなって、思いましたよ……。」
「けど貴方は、
ゆりちゃんをはじめとするみんなが心配なんですよね。」
_コクッ「何かがあっては遅いんです!
だからお願いです、行かせてください!!」
再び翔に頭を下げる剛太。
翔は剛太の元に歩み寄りその場に膝を突き肩に手を置いた。
「っ……」
「貴方の熱意に、負けましたよ荒木さん……
僕が止めても、今の貴方は動くでしょうからね……」
「っそれじゃ……!」
ゆっくりと顔をあげ翔を見る剛太。
「……許可します。貴方の、
ゆりちゃんへの強い気持ちを信じて……」
「っぇ……?」
「……無自覚ですね(微笑)」
「え、……え?汗」
翔の言葉が理解できない剛太。
「いえ、今のは僕の独り言です。
……北京に行くには、条件があります。」
「っ……はい、どんな条件でも呑みます。
ゆり達を守れるなら……」
「……まず、貴方に情報を教えた公安警察の名前を教えてください。」
「え……」
剛太は自分のせいで元教え子が
懲罰を与えられるのかもしれないと思い表情を曇らせた。
「もちろん彼には厳重に注意を呼びかけます。
ですが、貴方が思ってるようなことはしません。ただ……貴方へ情報を
漏洩させた罪とまで言いませんが……その彼と行動してください。」
「っボンと……?」