第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
「そこまで、知っているんですね……。」
翔は『参った。』と言わんばかりに苦笑いを浮かべた。
「っゆり達に危険が迫ってることは確かなんです!
もちろん何もないことを願いたい……
けど……いつゆり達が危険に晒されるかわからない。
何も出来ず、守れないなんて絶対嫌なんです!!」
「貴方の気持ちは、十分にわかります。
ですが、貴方の生徒はゆりちゃん達だけではありませんよね?
今学校に通っている生徒達、貴方のクラスに通っている獅依留くん達も、
貴方の生徒です。」
「っ……」
翔の言葉に拳を握りしめる剛太。
「その生徒達をほったらかしてでも、行きたいんですか?」
「っ……随分、意地悪な言い方ですね(苦笑)
もちろん、獅依留達も大事です!けど今身の危険が迫ってるのは、
ゆり達なんだ……なのにこのまま……」
「……。」
「っお願いです!!行かせてください!!!」_ガバッ!
「っ!?」
剛太はその場で土下座をした。
その様子に翔は驚きを隠せなかった。
「っ荒木さん!頭をあげてください!」
「っ嫌です!!『行っていい』って言われるまで動きませんから!!」
「っ……」
翔は片手で頭を抱えながら体を窓から見える外にずらした。
曇りない窓からは剛太が土下座をしている姿が反射されていた。
そして翔は思った、彼が想像以上に生徒を愛していることを……。
この男を止めるのは容易ではないと感じた。
「っ……貴方にとって、生徒は恋人みたいなものなんですね。」
「っ……かも、しれないですね。
だって、今の僕に生徒以上に大切なものなんてありません……。」
「……それは、ゆりちゃんがいるからですか?」
「ぇ……」
翔の言葉に思わず顔をあげる剛太。
「班田くんの時も、彼女をとても気にかけていたようですから……」
「っそれは!ゆりが俺のクラスの生徒だから……
三船達や班田達だって、俺にとっては可愛い生徒です!」
「貴方は生徒を平等に愛している。それは僕も知っています。
……しかし、」
「っ……」
「それ以上に、彼女のことが大切なのではありませんか?」
「っ……俺、は……」