第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
こうして全員が朝食を終えゆり達は再び部屋に戻る。
部屋の前には前日までと同じように2人体制で警備。
涼介も自身の部屋に戻りユウの頭と体を手に取る。
「っ直すと言ったものの……どう修繕すればいいのか……
最悪頭と体は繋げられるかもしれないけど、1番の問題は顔だよな……
目の所も解けてるし何よりナイフの刺し傷が多い……」
涼介はユウの頭を撫で独り言のように呟く。
「こんなになっちゃって……痛かったよね?
でも、少しでも君を元の状態に戻してみせるよ……
ゆりちゃんは要らないって言ったけど、
あの子には君が必要なんだよきっと……」
未だゆりがユウを捨てていいと言ったことに疑問は残るが
今はユウを直してあげたいと思う一心でいっぱいだった。
「……とりあえず、
ナイフで切られたところを縫った方が良さそうかな……って、
裁縫道具なんて持ってきてなかったや……誰か、持ってる人いたかな……」
涼介が頭を悩ました時、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「山田さん、髙地です。今大丈夫ですか?」
「髙地?あぁ、大丈夫だよ。今開けるね。」
ドアを開けると優吾が目の前に立っていた。
そして涼介に裁縫セットが入っているミニケースを渡した。
「っ髙地……これ……」
「僕こう見えて結構器用なんですよね、
裁縫セットも万が一のことを考えて持ち歩いてるんです。
ボタンが取れた時とかもすぐ直せますしね。」
「っわざわざ持ってきてくれたのか?
今は少しでも体を休めないといけないだろ……」
「これを渡しに来るくらい余裕っすよ。
それに山田さん、裁縫セットとか持ってきてないでしょ?」
「っまぁ……やっても家でやるからね……ありがとう。
買いにでも行こうと思ってたから助かったよ。」
「お役に立てるようならよかったです。
……直せそうですか?」
「正直、俺の腕でどこまで直せるかはわからない。
とりあえず顔の傷を縫ってあげようと思っててね……」
「少しでも、良くなってくれるといいですね。
頑張ってくださいってしか僕は言えないですけど、
あまり無理しないでくださいよ?最近の山田さん、
色々抱え込みすぎてますから……。」
「ありがとう髙地、でも今は無理しなきゃいけない時だと思うんだ。
北京にいる間、また何か起きる可能性だってあるんだ……」