第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
「迎えに来た。」
「……あの、だr_ダンッ!!…んん!!」
『っ!!』
(っゆりちゃん!!!)
男はジリジリとゆりの元に歩み寄って来たと思えばゆりを
ベッドに押し倒しながらハンカチのようなものを口に押しつけた。
そのハンカチからはアロマストーンと似たような匂いがしていた……。
「っ……」
(い、しきが……視界が遠のいて……)
ゆりはあっという間に意識を飛ばしぐたりとベッドにもたれた。
それを確認した男はゆりを持ち上げのうのうと部屋を出ていく。
その様子から、廊下にいたSPは皆気絶してるか負傷してることが伺えた。
『っなんでこんな……誰か!!助けてよ!!!』
思わずその場で叫ぶユウ。だがその声に気づくものはおらず……
『っこんなところにいるわけにはいかない……僕が行かなきゃ……!!』
ユウはベッドから飛び降り男が出ていった先を追いかけた。
本来ユウはゆり以外に存在を知られてはいけない。
タイスケは例外であるが神様から厳しく注意されていた……
しかし今のユウにそんなことを考える余地はなかった。
ただ一人の友達でありたった一人の妹であるゆりを
助けたいという一心の願いだけだった……。
『っ……待て!!!
ゆりちゃんを返せ!!!』
「っまだ誰かいるのか!?……っ!?」
ゆりを連れ去ろうとしている男は後ろを振り返る。
そして男は後ろを見て呆然と立ち尽くしてしまった。それもそのはず、
見た目はただのテディベア、愛らしいテディベアの表情はなく
まるで凶暴なクマの様でこちらに向かってくるのだから……。
「っなんだあのぬいぐるみは!!?」
『返せ!!!』_ガシッ!
ユウは男の足にしがみ付いた。
「っクソ!!なんだこのぬいぐるみは!!離せクソが!!!」
『っ離すもんか!!!』
ユウはなんとか男の体へよじ登り顔にしがみついた。
「っぅぐクソが!!!」_ガシッ!!
男はユウの体を持ち思いっきり顔から引き剥がし……
_バシンッ!
『わっ!!』
男に引き剥がされユウは乱暴に床に叩き付けられた。
「っテメェふざけやがって!!
今すぐ引き裂いてやる!!」
『っ!?』