第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
「ゆりの部屋に行ってもいいですか?」
「あぁ、もちろん構わないよ。……岩本、ラウール、
来海ちゃんをゆりちゃんの部屋に入れても大丈夫か?」
「あぁ、構わないぞ。」
「むしろゆりちゃんは会いたがってるし大歓迎ですよ!
……_コンコン…ゆりちゃん、来海ちゃんが今会いたいみたいなんだけど
大丈夫かな?」
「来海が!?本当ですか!?」
扉の向こうからはゆりの嬉しそうな声が聞こえた。
その様子に思わず笑みが溢れる照とラウール。
来海はすでに部屋の前に来ておりゆりはドアを開けた。
「っくる!!_ギュッ!
っ良かった……戻ってきてくれて……」
_ぽんぽん「珍しくゆりがデレてる〜」
ゆりはドアを開けるなり来海に抱き付き
来海は軽く背中をぽんぽんと叩いた。
「っ凄い心配したんだから……!」
「はいはい分かったから、とりあえず中に入ってもいい?
ここでずっと立ってるのもあれだし。」
「っうん……ごめん……」
来海はまだ本調子じゃないのかいつものような明るさは全くなかった。
そんな様子に少し違和感を覚えるゆりだが攫われた後
酷いことをされたというのは涼介からも少なからず聞いているので
そのせいだと思うことにした。
ゆりの部屋にはゆりと来海の2人だけ。
ゆりはお菓子をテーブルに出し来海とお菓子を食べながら
久々に穏やかな時間を過ごす。
だがゆりの来海に対する違和感は取れなかった。
「ねぇ来海、無理してない?
もしあれだったら部屋で休んでても……」
「アタシは大丈夫だよ。……あ、そうだ。
ゆりにもこれ分けてあげようと思ってたんだよね。」
「……?」
来海は自身の部屋から持ってきていたポーチから小さいボトルと
プラスチックの容器らしきものを取り出した。その中には
綺麗な石が入っておりゆりはなんとなくそれが何かを察した。
「もしかして、アロマストーンってやつ?」
「さすがゆり、物知りだね。
うん、菊池さんからもらったの。これで少しでも心が休まればって。」
「そうなんだ……でもなんで私に?」
「ゆりも昨日ヤバかったって聞いたし、
少し気持ち楽になってもらいたくてね。」