第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
「だよね……でも、そんな状態でライブをやっととしても、
ソウルの時みたいな満足のいくライブは絶対できないよ……
残ったゆりちゃん達だって、こんな状況でさ……」
「けど俺らにはどうすることもできねぇ……とにかく、
俺らはゆりちゃんを守ることに専念しよう。
まずはそこからだ。」
「うん……」
ラウールは泣き叫ぶゆりの声が聞こえる扉の先に
目を向けながら頷いた。
時刻は7:00過ぎ、ゆりらは朝食を食べる為涼介らと移動。
ゆりと同様に千鶴と愛美も顔に疲れや困惑がまだ残っていた。
「ははっ……千鶴、凄い顔だね……」
「そういうゆりこそ、いつも完璧な顔立ちが崩れてるわよ……
愛美も、凄い浮腫んでるわね……」
「だって寝れなかったもん……私たち、
これからどうなるんだろうね……」
「「……。」」
メンバーが半分が欠け、
3人からついこないだまでの気迫や元気は見られなかった。
そして事が動いたのは同日の夕方16:00過ぎ。
ゆりら3人は部屋にずっと籠っている状態で
SPや警備員はホテルをはじめ周辺を厳重に警戒。
ひとりの警備員が周りに気を配り目線を前に戻した時、
「っ!?
ぁ、あれはまさか……」
驚愕の表情でその先を見た。そして慌てた様子で胸元の無線を手に取り
ホテル中のSPや警備員に報告。その先にいたのは……
「「……。」」
「っ緊急要請!
ホテル正面入り口方面から3人の少女が歩いてきます!!
まだ少し遠いですが北山来海ちゃん達の可能性大!!」
何とホテルには来海・凪咲・来夢の3人らしき少女が
こちらに向かって歩いてくるではないか。
警備員の無線を受けた涼介らマネージャーは急いで
1階の正面入り口に向かいホテルの外に出た。
「「っ……!」」
「「……。」」
3人はその場にいた警備員に保護されており涼介達がその場に来ると
そちらに目を向けた。
「っ来夢……本当に来夢なのか……?」
「……慎ちゃん!!」_ギュウウ!
慎太郎はゆっくりと来夢のほうに歩み寄ると来夢は
キョトンとした表情から満面の笑みを浮かべ慎太郎に抱きついた。
慎太郎もギュッと来夢を抱きしめる。
「っ無事で、無事で良かった……!」