第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
再びメールが届き、涼介の元にもその連絡が伝えられたが
涼介はその場から一歩たりとも動きたくなかった。
もしかしたら、
その隙にゆりまでもが居なくなってしまいそうだったからだ……。
「っ悪いラウール……俺本部の方に行かないといけなくなったから
俺が戻るまでゆりちゃんを頼む……」
「はい。責任をもって守ります……山田さん、
顔に疲れが凄い出てますよ?」
「っごめん……チーフマネージャーの俺がこんなじゃ駄目だよな……」
「いえ。山田さんは十分にやってますよ。」
「けど結局3人は連れ攫われてしまったんだ……!
突然の出来事とはいえ、カメラが止まった後にすぐにでもみんなの側に
SPやマネージャーがつけば誰も連れ攫われることはなかったはずだ……
けどその指示を俺は出せなかった。いや出さなかった……
もっと俺が……!」
「っ山田さん……」
「っ……!」
_ぎゅっ…!
「っ!?」
ラウールが涼介になんて言葉をかければいいのかわからず口籠ってしまった。だがゆりは思わず涼介の元に駆け寄り抱き着いた。
「っ涼介さんだけの責任じゃありません……私たちみんな、
もっと警戒してれば……だから涼介さんだけ抱え込まないでください!!」
「っ!!」
「涼介さんは、昔ママが誘拐された時すごく後悔したって
言ってましたよね……それで、
同じような問題は絶対起こしたくないって……」
「っ……」
「涼介さんはずっと!頑張ってましたから!!
ずっと私たちを守ってくれてましたから!!!」
「っゆりちゃん……」
思わず涙を流す涼介。
「っだからそんな顔しないでください!!
涼介さんがそんなじゃ、私たちだって前に進めません!!!」
「っ……!」
「私だって悔しいです!!
こんなにもあっさりと……でも涼介さん一人の責任じゃありません……
だから……だから……」
「っ……ゆりちゃん、(微笑)」_ぎゅっ…
「っ!」
涼介はゆりをそっと抱きしめた。
「ありがとう、そんなふうに言ってくれて……
少しだけ気持ちが晴れたよ(微笑)」
「っなら、よかったです……微笑」
ゆりは涙を必死に堪えながら小さく微笑んだ。
そして涼介はゆりをラウールに任せ本部のほうへ向かった。