第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
「っ来夢……なんでお前が……お前がこんなとこで……
っクソ!!!」_ダンッ!
「っ来海……本当にすまねぇ……」
「っ……」
慎太郎は思わず拳を地面に叩きつける。
風磨と亮平は自身の情けなさを悔やんでいた。
その様子を窓から見ていた涼介も悔しそうに顔を歪め静かに涙を流した。
「ぅ…ヒック…みん、なぁ……どこいったのぉ……うぅ…!」
ゆりは涼介の胸の中で声を枯らしながら泣いていた。
自分ではなく親友であり仲間である3人が連れ攫われ自身が班田達に
拉致された時よりも胸が苦しかった……。
周りの状況を確認した一部のSP達は外にまだ残っている風磨達を
バスに連れて行きその間に警察や本部、事務所に連絡を取った。
そしてホテルまでバスを走らせゆり・千鶴・愛美はマネージャーと
一緒に部屋に入った。
自身の部屋に戻ってきたゆり、
すぐ隣には涼介がおりずっとゆりに寄り添うようにそばにいた。
「っ涼介さん……何で来海達は……」
「俺たちも、もっと警戒すべきだった……これ以上、
ゆりちゃん達に手出しはさせないよ……」
「っでも!!今ここに来海達はいない……また、
千鶴とまなまでが居なくなったら……」
「今現地の警察が行方を追っている……事務所に確認したところ、
日本の警察は既に動いているらしい……
今は自分の身だけを心配して……絶対、みんな戻ってくるよ……」
「っうぅ……!」
ゆりは涼介にしがみつくよう抱きつき
再び声を殺すように泣き始めた。
涼介はゆりが落ち着くまでずっと頭を撫で優しく抱きしめていた。
今日は部屋で留守番していたユウ、ユウも声を押し殺しながら
ゆり達を見ることしかできなかった……。
そしてその頃、
また本部のパソコンには短文のメールが送られてきていた……。
『不幸はまだまだ続くぞ。』