第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
バスの方角へ必死に走ればバスの見張りをしていたSPが
こちらに向けて手を振っていた。
「っみんな早く!!バスに乗って!!!」
「っよし……!
バスは大丈夫みたいだ!!みんな!油断せずに行くよ!!」
「「はいっ!!」
ゆりを抱える涼介、そして涼介を援護する4人は急いでバスに走る。
だがゆりは来夢の泣き叫ぶ声に反応し泣き叫びながらさらに暴れた。
「っらいちゃん!!来夢!!!!
いやだ!!!みんなーーー!!!!」
さらにゆりに追い討ちをかけるかのように、
今度は凪咲と思われる叫び声が少し遠くで聞こえてきた……。
「っいやあ!!!やめてってば!!!」
「っなぎーーーー!!!!」
「っ他のSPは何やってんだよ!!!
みんな!!早くバスに乗って!!」
涼介の叫びと共にバスの中に入る6人、バスの中も完全に安全と
いうわけでもないので引き続き周りを警戒する5人。
ゆりは涼介の中でもがきながら泣き叫んでいた。
「っいやああああああ!!!」
_ギュッ…「っゆりちゃん……」
涼介はこれ以上周りの声が聞こえないよう
ギュッと抱きしめゆりの頭を抱えた。
「っくそ……まさかこんな隙を突かれるだなんて……」
照は悔しそうに唇を噛み締め外の様子を見た。
そしてそれからすぐに千鶴、愛美を含むマネージャーとSP達が
バスに乗り込んできた。どうやらこの2人の周りの人物達はなんとか
振り切ったようだ。だが千鶴と愛美も突然の出来事に思考が停止してるのか
2人もマネージャーの大毅と侑李に抱き抱えられていた。
「っ……まさか、無事なのってこの3人だけ……?
他の、みんなは……っ来海ちゃんは!来夢ちゃんは!凪咲ちゃんは!?」
「っごめん山田……さすがに他の子達にまで目を配る余裕はなかったよ……
けど、近くにいたはずの来海ちゃん声がどんどんと
遠ざかっていくのはわかった……っ……」
「っそんな……」
そして外に広がっていた煙幕はやがて消え、
視界の先は元の景色に戻っていた。
だが一つ違うことはその場に来海・来夢・凪咲の3人がいないこと。
3人のマネージャーは地面に膝を突きながら泣いていた……。