第11章 ☆Story29☆ 夢に向かって
ゆりside
話を終えゆりたちは自分の部屋に戻る。
ゆりもユウを抱き抱えながら部屋に入った。
『ゆりちゃん、本当に大丈夫?』
「何が?」
『そりゃあ……不安じゃないの?』
「もちろん、不安な気持ちはあるよ。
でも今はそればっかり気にしていられないでしょ?
まぁ、警戒心をいつもより持ったりとかは神経疲れそうだけど……」
『そっか……事件慣れ?笑』←
「事件慣れって何よ笑
慣れちゃだめでしょ……でも、危機感ってのは覚えたかも……
さて!明日明後日は番組の撮影でその翌日はいよいよ北京に出発だよ?
また打ち合わせやリハが始まるのかぁ……気合い入れなきゃ!」
『だね!』
(ゆりちゃんも、思ったより大丈夫そうだなぁ……
このまま、何事もなくことが進めばいいけど……)
ゆりの様子を見てホッとする反面、
まだユウの中から不安は消えなかった。
そんなユウの心中を知らずゆりはシャワールームに向かい
今日の汗を流すのだった。
こうして翌日は特番波の収録をしソウルに滞在中の間は、
あの話が嘘かのようにゆりたちを始めとする関係者の周りには
これといった問題は起こらなかった。
だがゆり達がソウルを立つ前日、圭吾ら3人は進展があった。
特に警視庁の人間ではない勇吾はホテル待機を賢司から命じられたが
大人しくしてるような男ではなく圭吾達の邪魔にならないよう
出雲の動向を探っていた。
『葛城!
逃走中の出雲は5番街の廃工場に入ってった!先回りしろ!!』
「了解!!」
(絶対捕まえてやる……!)
『神崎は現地警察に緊急要請!非常線を張り逃走経路を封鎖!!』
『了解!!』
圭吾、賢司、隆一の3人はそれぞれ別方向から犯人を追跡。
そんな中勇吾は3人よりも出雲に近い位置におり出雲が廃工場にあるうち
ひとつの建物に入っていくのを見た。
「……圭吾達も、時期に来るだろうがまた逃げ出す可能性あるな……てか、」
(なぜ急に出雲は姿を現した……日本から逃走して、
あんなに行方を晦ましてたやつが一般市民の目撃情報であっさりと……)
勇吾は異様な違和感を覚えていたが出雲を見失わないよう警戒して
3人が来るのを待った。