第11章 ☆Story29☆ 夢に向かって
『うん、実はね……太輔が仕事から帰ってくる前に、
叶輔からビジョンが送られてきたの。』
「ビジョン?こないだみたいのか?」
『それとはまた少し違くて、叶輔が見ていることを直接私に送るの。
つまり叶輔は、今日のゆり達の様子を送ってきたのよ。』
「っなんで急に……何か、大きな問題でも起きたのか?」
『うん。話の規模はすごく大きくなりかけていて
ゆり達にも危害が及ぶ可能性があるって話……』
「っ!?
っなんだよそれ……」
『簡単に説明すれば、日本で女子中学生を性的暴行を加えた上で
殺害した凶悪犯がゆり達が今いるソウルに逃走中。
しかもその犯人は、
ソウルにある裏組織に関わりある人間だってことがわかったの。
更にその組織の一部が以前に女性の韓流アイドルを殺害してる。実行犯は
まだ服役中だけどそんな輩がまだ組織内にいるかもしれなくて
今注目を浴びているゆりたちが標的になる可能性もある……』
_ゾワッ…「っ……」
太輔は百合の話を聞いて背筋がゾワっとなる感覚を覚えた。
『っ私も最初話聞いて……すごい背筋凍ったよ……
今ゆり達って、
日本や韓国以外でも話題になってるってニュースで見たでしょ?』
「あぁ……ゆり達すげぇなって、話してて……
本当に世界一になる現実も近いんじゃないかって思えてきてた……。
なのに、このタイミングでか……」
『……神様から、与えられている試練かもしれないね。
これはゆり達への……』
「っだとしたら……残酷過ぎるだろ……!
ゆりや他の子供達が被害者の女の子と同じ目に
遭うかもしれないって……ゆり達は、何もしてねぇだろ……」
『それは、
その被害者になってしまった女の子にも言えることだよ……。
目をつけられるくらいの輝きが、今のゆり達は持ってる。
その輝きは、光だけでなく闇も引き寄せる……私たちも、
覚悟したほうがいいくらいだと思うよ……。』
「っ……ゆりは、ゆりたちは大丈夫なのかよ……」
『……それじゃ太輔にも、見せてあげるよ。』
「え……?」
『ゆり達が、どんな様子だったか……』
「っ……」
そう言うとゆりは椅子の上に立ち上がり両手を太輔に伸ばした。