第11章 ☆Story29☆ 夢に向かって
「……。」
(やっぱり、犯人は捕まっていないのかな……)
ゆりはそんなことを思いながら
ラウールのジュースをコップから口に運んだ。
「どうゆりちゃん、それも美味しいでしょ?」
「はいとても!
良かったら私のもどうですか?」
「いいの?んじゃ「ラウール、今仕事中だろ(黒笑)」出た!
ハマの番長・黒い髙地さん!?」←
「ただでさえ山田さんにこの間の牛騒動でこっ酷く叱られてんだ。
山田さんに見られたらまた大目玉食らうぞ。
んで、俺がさらに説教喰らうんだからよ……」
「怒られるのも、リーダーの役目っすからね笑」←
「お前はもっと自覚しろ!怒」
「笑笑」
ゆりはそんな2人の様子をくすくすと笑いながら見るのだった。
そして間も無く涼介も合流、ついでに大好物のイチゴが使われている
ジュースを注文しゆり達隣の席に座った。
_コソッ「髙地、特に変わったことは?」
_コソッ「特に問題はありません、怪しい人物もいませんし、
日本人も幸いいません。」
「そっか……まぁ、
俺の様子を見てゆりちゃんも察してるかもしれないけど……
ホテル着いたら大事な話があるから髙地達SPも大広間に集まって。」
「「了解です。」」
涼介と優吾は他のお客さんに聞こえないよう会話をしさっきまで穏やかな
表情を浮かべていたラウールは真剣な顔つきになり涼介の話を聞いた。
そして涼介は少し離れている照とジェシーにも簡単にサインを出した。
_コクッ「「……。」」
涼介の出したサインの意味は『大事な話あり』『また後で』。
2人は頷き相槌を打った。
ゆりはそんな大人達のやりとりを見守りながら
自身のジュースをストローで口に運ぶ。
「おいしっ♪」
(私は普通にしてないとね……それにしても、
やっぱり犯人は捕まってないのか……
世界一のアイドルになる道はやっぱり険しいってことかなぁ……)