第10章 ☆Story28☆ 世界を目指して…
「無事完走したよ……」
小さくユウに呟くゆり、涼介はそんなゆりをクスクスと笑った。
それに気づいたゆりはちょっと照れ臭そうにほっぺを赤くさせた。
「っ……」
(思わず普通にユウに声かけちゃってた……)
『……。』
(ゆりちゃんったら笑)
「ゆりちゃん、日本出る時はめちゃ恥ずかしそうに
持ち歩いてたのに今じゃ全然余裕だね笑」
「っ……子供っぽくて、ごめんなさい……」
「ゆりちゃんはもう少し子供っぽくていいんだよ?
それに、そのぬいぐるみはママの分身みたいなものなんでしょ?」
「っ……えっと、まぁ……」
「きっとママも、ゆりちゃんのカッコいいところも
可愛いところも見てたと思うよ?」
「っ……だと、いいですね(微笑)」
(ユウの正体、正直全然わからないけど……ユウの中には、
ママの魂みたいなのが宿ってるのかな?)
涼介にそう言われると、ユウは百合の分身であり
自分を見てくれているんではないかと思えてきた。
ゆりはユウを見つめ……
「……。」
(もしユウが、ママの生まれ変わりだったらどんなに嬉しいだろう……
ずっと、一緒にいたいな……)
いつか別れが来ると分かっていてもまだずっとユウと居たいと思うゆり、
ユウはそんなゆりの心情を感じたのかちょっと眉を下げた。
『……。』
(ゆりちゃん……僕は、
母さんの生まれ変わりじゃなくてお兄ちゃんなんだよ?
でも、本来の姿は違う。生まれてくるはずのない、命だったんだから……)
「ふふ……」_ピタっ
_ビクッ「ひゃっ!?」
涼介は突如濡れタオルをゆりの首に置いた。
「ほら、黄昏れる前に水分補給もして!
明日も全力でやるんでしょ?」
「涼介さん……」
_ニコッ「今日のゆりちゃん、凄く輝いていたよ?
それにここだけの話し……(コソッ メンバーの中で誰より一番頑張ってたよ。」
「っ……!」
「ふふっ……明日もその調子で頑張って!」
「っ……はい!
当然です、明日は今日より凄いステージにしますから!!」
「……(微笑)」
こうしてみんな、
楽屋で軽くシャワーを浴びたり帰り支度をしてホテルに戻るのだった。