第10章 ☆Story28☆ 世界を目指して…
「……もしかして、照れてるの?」
憲吾の図星を突いてくるゆり。
「っ……これで照れない奴が、いんのかよ……」
『ふふっ……大好きっ!』
「っお前……今俺で遊んでるだろ……」
ぶっちゃけ、ゆりはこんな何度も大好きとか、
言うような奴じゃなかった……少なくとも、前までは……
でも今のゆりは完全に俺で遊んでやがる……こっちの気も知らずに。
『ごめんごめん、反応が面白くてつい(苦笑)』
ほら……まさかゆりに遊ばれる日が来るなんて、
思いにもよらなかった。
『こういう憲吾見れるのって、私だけ……だもんね?』
あぁ、そうだよ……。
こんなとこ、吾郎や圭吾達にだって見せたことねぇし
お前だけだよゆり……
「っ……吾郎や勇吾にいじられるよりキチいよ……ほんと……」
ホント、ゆりにしか俺のこんな弱いところは見られたくねぇ……。
『ん?笑』
「っいや、っんでもねぇ……」
……コイツ、どんだけ俺で遊ぶんだよ……
でも流石にこれ以上遊ばれたら俺の心臓がマジもたない……。
「そろそろ、寝なくていいのか。
明日も、朝から仕事あんだろ……」
親にも言われたことないのに、
こんなにゆりから言われたら本当におかしくなりそうだ……。
『もうそんな時間か……確かにそろそろシャワー浴びなきゃな……』
「んじゃ、切るぞ……」
色々と耐えられなくなった憲吾は電話を切ろうとするがゆりに止められた。
『っ待って!』
「っ…んだよ……」
(ホント勘弁しろよ……)
『じゃあ最後に、もう1回憲吾から『好き』って言葉聞きたいな……』
「っはぁ……!?」
言われただけでも恥ずかしいのに、
俺からも言うなんてどんな地獄だよ……←
憲吾は恥ずかしさのあまり再び手のひらで顔を覆った。
『だって、私しか言ってもないん『大好き』って……』
「っ……好き、だ……」
顔を覆ったまま言う憲吾、だがゆりは許してくれなかった。
『うーん……さっきより声小さいや……』
っ……まさか年下相手にここまで遊ばれるなんて、
ゆりに会うまでの俺には想像できないだろう……
ホント、コイツには敵わないな……。