第10章 ☆Story28☆ 世界を目指して…
「っごめん……ゆり……」
『ぇ……?』
「今、怖い思いさせたよな……すまなかった……」
どんな理由であれ、ゆりを傷つけてしまうなんて……
『っそんな……憲吾はなにも……!
謝るべきなのは、私だよ……気を使わせてごめんなさい。
無意識とはいえ、藤ヶ谷さんの話して傷つけちゃったよね……』
「っ……ぃや…別に俺は……」
嘘と言えば嘘だが……ゆりの重荷にはなりたくない。
だが今、俺のほうがゆりに気を使わせてしまった……。
『今思い出せば、私が藤ヶ谷さんの話題出してからちょっと変だったもんね……』
「っ……」
『ただ星や流星群の話をしてただけつもりだったけど、
不愉快な思いさせてごめんなさい……私が逆の立場だったら、やだもんね……』
「っゆり……確かに、俺は嫉妬してた……
でも、結局お前に怖い思いをさせてしまったんだ……すまない。」
『っだから、憲吾は悪くないってば……悪いのは私なのに……』
「『……。』」
2人の間はしばらくの無言、
憲吾は何を言えばいいのかすっかりわからなくなってしまった……。
「っ……」
(何か、話さねえと……このまま気まずいままは……)
何とか何かを話そうとした時……
『……でも、ちょっと嬉しいな。』
「ぇ……」
『憲吾が、そんなふうに嫉妬してくれて……』
「っ……別に、
それくらいで嫉妬とか、俺の器が小さ過ぎただけだ……」
ちょっと話していたくらいでこんなにも嫉妬しまうなんて、
本当に情けない……。
こんな俺が、本当にゆりの彼氏でいいのか……?
『っだって憲吾ってさ……今だから言うけど、最初会った頃は
あまり表情がなくて今どんな感情なのかって、わかりづらかったから……』
「っ……」
吾郎や双子にもよく言われてた……
俺は感情を表に出すことがないから最初のうちは難しいって……
『でも、段々憲吾と一緒にいるうちに……
ふとした時に見せる優しい表情とか、笑った顔が見れて……嬉しかった。
もっとこの人の笑顔が見たいなって……』
「っ……」
(っホント…何だよそれ……)
憲吾は思わずスマホを持っていない反対の手で顔を覆った。
自身でも顔が再び真っ赤になっていることがわかる。
本当にゆりといると調子が狂う……