第10章 ☆Story28☆ 世界を目指して…
『そうなんだ!
今の空はどう?変わらず星がいっぱい?』
「あぁ、そうだな。
星は綺麗だ……さすがに、流星群はないけどな……」
『そっか……でも私も、見てみたかったな生の流星群!』
無邪気に話すゆり、
アイツの前でもそんなふうに話していたのかもしれないと思うと、
何とも言えない気持ちになった……。
『でもさっきはビックリしたなぁ笑』
「……?
何か、驚かせるようなことしたか?」
(俺は驚かせるようなことを書いたり言ったつもりはないが……)
『藤ヶ谷さんも、憲吾と同じタイミングで流星群見てたのかな?
電話終わった後綺麗に撮れたからって送ってくれたんだ、星空の写真。』
「……。」
どうやら、アイツもさっきの流星群を見ていたらしく
俺と同じように空の写真を送っていたらしい……。
憲吾はふと窓から空を見た。
そして無意識にもギュッとスマホを握り締めていた。
「……そうなのか、
まぁ滅多に見れないからな……ここまで綺麗な星や流星群は……」
冷静にならねぇと……流星群なんて、
滅多に見れないし誰でも遭遇すればそれを見るし写真に撮ったりする。
それを親しい人物に話すのは別に普通のことだ……。
『だよねぇ……滞在中、流星群見れないかなぁ……』
「……さぁな、そっちの天気とか…わかんねぇし……」
少しぶっきらぼうに話す憲吾、イライラする気持ちが
どんどん溢れてくるのが自分でも身に沁みてわかってくる……。
心の中でわかってても、
どうしてもイライラする気持ちを抑えるのが難しい……。
_ゆりから、アイツの話はもう聞きたくない……。
『今日の東京の夜空は、凄く綺麗な日だったんだね……
日本のみんなはいいなぁ……パパや他のみんなも見てたりしたのかな!』
「……さぁ、
俺には、わかんねぇよ……」
今は、アイツの口から他の奴の話なんて聞きたくない……。
何でこんなにも……
『……?
憲吾……?』
「なんだ?」
『っううん……何でも、ない……』
「っ……!」
(俺は何して……)
何気ない相打ちのつもりだったが
俺の声から感情がゆりに伝わっていたようだ。
電話越しでも、ゆりが戸惑っている様子がわかった。
「っ憲、吾……あの……っ……」
「っ……」
(早く、謝らねぇと……)