第10章 ☆Story28☆ 世界を目指して…
「マジですげぇよ、ゆりちゃん……」
みんなからそれぞれ熱を感じるけど、
やっぱり昨日のゆりちゃんはすげぇカッコよかった。
グループのみんなも、
それがきっかけでこんなにも情熱を放っているんだって……
ゆりちゃんやドルチェの言葉は、キスマイのメンバーにも少なからず
響いたみたいで現状に満足せず
もっと上を目指したいと思うようになったらしい。
それは俺も同じだ。
世界一は、さすがにデカ過ぎるけどまずは日本一……他のグループにはない
唯一無二のグループにしようと、メンバーで誓い合った。
「……今の俺には、まだゆりちゃんの隣にいる資格はねぇけど……
ぜってぇそれに見合う奴になってやるよ……三船にだって、
負けねぇからな……。」
タイスケはぎゅっと右拳を握りしめた。
そしてタイスケは以前ゆりの誕生日に撮ったプリクラを
スケジュール帳から取り出した。
今ではスケジュール管理はAIや電子機器による管理が一般的だが
タイスケはそれだけに頼らずこうして自身で書き写しているのだ。
「今度撮る時は、ちゃんとカレカノで撮れたらいいよな……でも、」
でも今ゆりちゃんは夢に向かって走り出したばかりだ。
その足だけは引っ張りたくない……。
「……ゆりちゃん、日本に帰ってくる頃には
もっと素敵な女の子になってるんだろうな……(微笑)」
今はそれを楽しみに、俺は今俺がすべき事をしよう。
仕事も、今まで以上に気合を入れて頑張らねぇとな……
こうしてタイスケは夕食の支度をしながらリハーサルの様子を見守った。
ゆりside
リハーサルは順調に進み、曲のお披露目も無事終わった。
みんな、リハだからって妥協は一切ない。もちろん私も、
昨日世界中に向けてデカイこと言っちゃったし妥協なんてさらさらない。
最後の項目も終わりそれぞれ水分補給。
今まで観客席に居た涼介さん達が私たちのところに戻ってきた。
「ゆりちゃんお疲れ様、今までにない集中力と情熱、
こっちまで伝わってきたよ。」
「ありがとうございます涼介さん。
でも、これはまだリハで完成形じゃありません。本番ではもっと、
観に来てくれた人達を全員満足させるライブをするつもりです。」
「っゆりちゃん……」