第10章 ☆Story28☆ 世界を目指して…
『……。』
「神様ってやつは、その人の人生を操ることだってできんだろ?
試練を与えることだって、容易なことなんだろ……
お前の癌が再発した時だって……
あんな元気だったお前が急に癌になるなんて、
その時は思いにもよらなかったよ……」
『正直、私もそうだよ……これから太輔と生きていくんだって時にさ……
ゆりの成長だって、私も見ることができたかもしれないのに
こんな形になるなんてさ……』
「……けど、それで成長できたこともある。
もしお前が本当に生きていたなら、
俺こそ自立できていなかったかもしれない……」
『太輔……』
「……正直、神様に運命を決められるなんてごめんだ。
でも……それは神様が俺たちにその試練を与えたってだけで、
あとどうするかは自分次第。自分で決めた道だってことは信じたい……。」
『ふふ……神様、もしかしたら太輔のことも気に入ってくれるかもね♪』
「っ変なこと言うな……俺は、まだ死ぬつもりはねぇぞ。」
『そうだね〜
ゆりの結婚式と孫の顔を見るまでは死ねないよね〜♪』
「っ結婚!?しかも孫って何十年後の話だよ!?」
『いやいや……何十年後じゃなくて案外10年後とかにはさ!
あ、でも芸能人だと結婚遅れそうだよなぁ……』
「……。」
『さてさてゆりの隣にいるのは憲吾くんかタイスケくんなのか……』
「っやめろ……三船くんならまだ許せても、
あいつはダメだ……俺の本能がそう言ってる……」←
『……太輔がそう言っても、それを決めるのはゆりだよ?
ゆりが選んだ相手なら、ちゃんと受け止める!!』
「……俺も、もう少し成長する必要あんのかな……」
『だね笑
これからも、見守り方は違うけどゆりを見守っていこ?
だってゆりは……私たち自慢の娘なんだから!』
「ふっ……そうだな(微笑)」
『……(微笑)』
太輔は百合の頭を撫でながら微笑む。
百合もそんな太輔の様子を愛おしそうに見つめていた……。